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[レビュー2007年08月12日に発表された 

鬼太郎が見た玉砕 ~ 水木しげるの戦争

Kitaro ga mita Gyokusai

知らない人にはわかりにくいかも

原作の『総員玉砕せよ! 聖ジョージ岬・哀歌』は自伝的漫画であって、自伝ではない。つまり(現代の)水木しげると、(過去の)丸山二等兵は同一人物ではないのだが、香川照之が2役を演じているので混乱する。
水木しげるが自分自身を主人公とせず、しかも分身を漫画の中で殺した理由は明らかにされるが、娯楽としては遅きに失している。現代(1970年代)の日本とラバウル、水木しげるの過去、さらに漫画の世界が交錯するのだから、もうちょっと整理してほしかった。

とはいえ鬼太郎とネズミ男が紙面から飛び出してきたり、ショッキングなシーンを漫画で代用するなど、演出はよかった。「100まで生きろ!」の命令は、ぐっと胸にしみる。
水木しげる漫画に親しんだ人は、隊長が丸山をいびるシーンで「ビビビッ」という効果音が聞こえただろう。1970年代といえば、水木しげるが人気漫画家になって、執筆と生活に余裕が出てきたころ。終戦後の紙芝居や貸本作家時代には、過去を振り返る余裕がなかったのだろう。そうした背景を踏まえると深みが増す。

水木しげるの経歴に詳しい人も多くないだろうから、もうちょい初心者向けに作ってほしかったかな。


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