映画:ジャングル大帝 (1997年版) JUNGLE EMPEROR LEO | Kimba the White Lion

1997年 アニメ 4ツ星 主人公は動物 @手塚治虫

命のヤリトリに向き合った傑作

原作の第3部を忠実にアニメ化。大人に──そして王になったレオの賢さ、強さ、優しさに圧倒される。まさに理想的な王の姿だった。原作やアニメでレオの成長を知らない人は、いささか戸惑うかもしれないが、それで混乱することはないはず。

ラストが重い。『おまえうまそうだな(2010)』や『あらしのよるに(2005)』とちがって、食べるものと食べられるものの友情をきちっと描いている。ただ死ぬのではなく、その肉と皮を相手に差し出して、いのちをつなぐ。その決断を分析すると、レオはいのちの天秤に従っていることがわかる。

・大切な息子(ルネ)と娘(ルッキオ)、森の仲間たちを救ってもらった恩。
・ルネの生還を信じ、自分の物語が継承されることへの確信。
・ヒゲ親父が月光石を持ち帰ることで救われる命の数。
・視力の限界。

特別なことではない。私たちは生き物の血肉を、日常的に、強制的に奪っている。私たちはみな、ヒゲ親父と同じように感謝と責任を負わなければならない。

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