ヒックとドラゴン How to Train Your Dragon

2010年 外国映画 5ツ星 ファンタジー:剣と魔法 主人公は子ども

なぜヒックは、ナイト・フューリーを殺さなかったのか?

アスティの問いかけが本質を突いている。「ドラゴンは危険! 見たら殺せ!」と教えられている島で、ドラゴンが共存可能な相手とわかる前に、殺せば英雄になれるのに、英雄になりたいと願っていたのに、なぜヒックは、ナイト・フューリーを殺さなかったのか?
ヒックは自分が弱いから、弱っている者の気持ちがわかったという。それは、島にいる全バイキングが見逃していたこと。身体能力が絶対視される世界で、知性と優しさが突破口になるなんて。こんな逆転があるだろうか!?
アスティが受けたショックを想像すると、身震いする。ヒックもすごいが、彼を否定しなかったアスティもすごい。

あるいは...子どもだからこそ起こせた奇跡かもしれない。憎しみと誇りに囚われた大人は、きっと真実を受け入れられなかっただろう。証拠から目を逸らし、無謀な戦いに身を投じ、怨念のみ拡大再生産していく。バイキングの価値観では戦力にならない子どもたちが、最強のバイキングも成し得なかった偉業を果たす。ここにも逆転が潜んでいる。

頭の固いバイキングは現代社会にもたくさんいる。能力不足に悩む人は、この映画でなにかを掴めるかもしれない。

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