ハート・ロッカー The Hurt Locker

2009年 外国映画 3ツ星 主人公は軍人 戦争

振り返れば名作

アカデミー賞作品賞を受賞したので、どんな感動があるのかと期待したが、テンポが悪いというか、流れが見えないというか、なかなか没入できない。しかしラストで、なにが描かれてきたかがわかる。戦争は麻薬である。答えは冒頭に出てきた。

しかしテーマがわかっても、演出には賛同しづらい。ジェームズ軍曹は異常者ではなく、中毒者だ。どこにでもいるふつうの父親でしかないのだが、それがわかりにくい。ベッカム少年へのこだわりは過剰すぎた。まぁ、その抑えた演出があればこそ、テーマが映えるのかもしれないが。

それにつけてもアメリカという国はすごい。現在進行中の、自国が攻め込んでいる戦争を映画にできるなんて。出征中の兵士も、この映画を見るんだろうか。リアルタイム性も、映画の評価を押し上げている。

とはいえ爆弾処理の緊迫感や、喉がひりつく遠距離射撃は白眉の出来。これだけでも見る価値はある。

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