ユニコ 魔法の島へ Unico in the Island of Magic

1983年 アニメ 3ツ星 ファンタジー:童話 @手塚治虫

「ぼく、がんばっちゃう!」でいいの?

無条件で人々を幸せにするユニコ。しかし果たしてだれが、ユニコ自身を幸せにしてくれるだろう? ここが本作のキモと思っていたが、なぜか映画2作目では抜け落ちている。ユニコが気持ちだけでユニコーンに変身してしまうのが、その証左。第1作の悪魔くんやチャオに比べ、チェリーやマルスにはユニコへの愛情が感じられない。つまるところ、本作はよくある活劇になってしまっている。
万能たるユニコが、ククルックを受け入れるシーンはよかった。まさに無償の愛だ。ククルックは成仏し、トルビーは改心し、すべてが元通りになった。だけどユニコは? だれがユニコを幸せにできるのか? 無害なペットではなく、無敵の英雄でもなく、ありのままのユニコを受け入れてくれる気持ちが描かれなかったのは残念だ。

それはそうと、ククルックの球体デザインは秀逸だ。常田富士男の声も素晴らしい。山猫のヘッドホンに小鳥とカエルが入っていることや、ユニコの光る角をくわえる怪物など、細かいところでセンスが光る。子ども向け冒険活劇としては、文句ないクオリティだ。

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