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[レビュー2009年01月10日に発表された 

クローンは故郷をめざす

The Clone Returns Home

魂は故郷をめざす

感想を述べにくい作品だ。見ているときは冗長に感じたが、見終えたあとは、それもよい演出だったと思えてくる。BGMや画面効果がほとんどなく、それが息苦しかった。まるで映画から突き放されたような気分で、寄る辺ない主人公の気持ちと共鳴した。
共鳴と言えば、あの音──。誰もいないのに、あの音が聞こえる。
やばい。じわじわキてる。

科学者たちが強引にクローン再生を実施しようとしているのはリアルだった。「成功するまで、第1号ではない」「クローンの処分は殺人ではない」とする考え方は恐ろしいが、こうした暴挙のおかげで社会は進歩している。目を背けてはならない。
一方、科学技術に落胆した老科学者も、なにかに気づきつつある。つまり、クローン再生技術は発展途上の技術なのだ。不具合は修正されていくだろう。

クローンが故郷に帰るのは内省的に見えるが、そうじゃない。肉体と魂は不可分で、それを分けたから、故郷を目指しただけ。双方が合致したとき、人間は未来をめざす。そう思わせるラストが清々しかった。

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