2ツ星

映像はすごいが、中身は......

あらすじ

2003年(ターミネーター3でスカイネットが核攻撃を起こした年)。死刑囚マーカス・ライトは、サイバーダイン社に献体することをサインして、死刑に処された。

2018年。審判の日によって地上は荒廃し、生き残った人類はスカイネットの機械軍の脅威にさらされていた。成長したジョン・コナーは抵抗軍に属したが、まだ戦士の一人でしかなかった。

ある日、抵抗軍がスカイネットの拠点を急襲。そこでは新型ターミネーター(T-800)が製造されていた。ジョンは、カイル→サラに教わったより早く製造されていたことに驚く。その後、反撃を受けて部隊は全滅。唯一生き残ったジョンが帰投すると、マーカスが地上に這い出してきた。

抵抗軍はスカイネットを停止させるシグナルを発見。これを利用して総攻撃をかけることを決定する。ジョンは作戦に志願した。
スカイネットの暗殺リストにジョン・コナーとカイル・リースの名前があった。ジョンの父親となるカイルは、今は10歳の少年だ。ジョンはカイルを探した。

一方、地上をさまよっていたマーカスは、口がきけない少女スターと少年カイルに助けられる。3人は抵抗軍と合流しようとするが、スカイネットに補足され、スターとカイルが連れされてしまう。マーカスはジョンの部隊に合流する。

マーカスは人間と機械のハイブリッドだった。ジョンは警戒するが、マーカスの人間性を信じることにする。カイルを救出しないと歴史が変わってしまう。しかし司令部は総攻撃を延期せず、ジョンを解任してしまう。ジョンは無線放送で、攻撃を待ってほしいと伝える。ジョンを信じる者たちは攻撃を控えた。
スカイネットを停止させるシグナルは偽物で、これを発信した司令部がある潜水艦は位置を補足され、破壊されてしまう。

ジョンはマーカスの案内でスカイネットの施設に潜入する。だがそれはスカイネットの作戦で、マーカスはジョンを施設に連れてくるようプログラムされていた。
カイルを発見したジョンは脱出を試みるが、T-800型ターミネーターに襲撃される。マーカスの協力でなんとか撃退できたが、ジョンは心臓を貫かれてしまう。

砂漠の基地にもどってきたジョンは、カイルを部隊に迎え入れる。マーカスは自分の心臓をジョンに捧げると申し出た。

なんとも中途半端な最新作だ。荒廃した未来世界や、ロボットとの戦争のビジュアルはすごいが、まぁ、それだけ。司令部に解任されたのに、自分の要望を無線放送するのも常軌を逸している。ジョン・コナーは救世主、という思い込みがないと許されない行為だ。

スカイネットが、マーカスを使ってジョンを呼び出す理由もわからない。殺すチャンスはいくらもあったし、そもそも暗殺リストに名前を載せてたじゃんか。

さらに言うと、スカイネットがジョンとカイルを狙う理由がわからない。この時点では、ジョン・コナーは一介の兵士だし、カイルはただの子どもだ。スカイネットは「未来の歴史」を知っていたようだが、だれが、どうやって伝えたのか? 1984年(ターミネーター)、1994年(ターミネーター2)の時点でスカイネットはないし、2003年(ターミネーター3)では起動直後に核攻撃をはじめたじゃないか。

そして驚くべきラスト。あんな砂漠の基地で、心臓の移植なんて可能なの? というか、心臓が傷ついたら即死でしょ? 意味ありげに登場したマーカスの役目は、ただ心臓を差し出すだけ? なんだそりゃ?
SFの醍醐味である価値観の逆転もない。ジョン・コナーが約束された救世主への階段を登るだけ映画だった。

もう1つのエンディング

ソースを特定できないが、こんな話を聞いた。
『ターミネーター4』本来の主役はマーカスだったが、クリスチャン・ベイルがごねたため、ジョン・コナーを主役とする脚本に変えられてしまった。本来のスクリプトは、このようなエンディングだったと言う。

(終盤まで同じ)
ジョン・コナーはターミネーターに殺されてしまった。精神的指導者を失ったことで抵抗軍が瓦解することを恐れた生き残りたちは、マーカスにジョン・コナーの顔や皮膚を着せた。
ジョン・コナーの代役となったマーカスは、新たな指導者としてスカイネットに立ち向かうのだった。

人類の救世主が、じつは人間ではなかったというアイデアは素晴らしい! このプロットなら、マーカスの存在意義もある。調べると、さらにこんなプロットが見つかった。

ジョン・コナーの皮をかぶったマーカスは、カイル、ケイト、バーンズを含む抵抗軍の主要メンバーを殺害する。マーカスは抵抗軍を破滅させるよう、スカイネットにプログラムされていたのだ。

このエンディングは驚くけど、つまるところ人類が機械に負けたわけで、物語の満足度は大きく損なわれる。しかしそれ以上に問題なのは、2029年にスカイネットが抵抗軍に敗れ、ターミネーターを1984年に送り込む可能性がなくなること。いまさら言いたくないが、タイムパラドックスじゃん!

だが、秘密を知っている人間を抹殺するなら、アリだと思う。残酷に見えるが、それが抵抗軍のためであり、人類のためなのだ。人間なら躊躇することも、機械であるマーカスなら実行できる。

『ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ』でも、未来のジョン・コナーは正体不明だった。じつは機械が代役をしていて、その秘密を守るため他者との接触を避けていたと考えると、もろもろ納得できる。やはりジョン・コナーが機械と入れ替わるアイデアは素晴らしい。

また、こんなプロットもあったらしい。

スカイネットは「プロジェクトエンジェル」という計画を進めていた。これは生け捕りにした人間をハイブリッドマシンに変えて、理想郷を作るというもの。スカイネットは、みずからが滅ぼす人間の世界を、べつの形で救おうとしていたのだ。これこそがタイトル「Salvation」の意味だった。

なるほどスカイネットが人間を捕獲していたことの説明になるが、だとするとスカイネットの目的は人類の粛清ではなく、適正な人類による理想郷を作ることになる。また2003年(ターミネーター3)でスカイネットが起動し、核攻撃を仕掛けるまえに、将来必要になるであろうマーカスの身体を保管した人間がいたのだろうか? だとすればスカイネットの暴走は事故ではなく、作為だったという考えも浮かぶ。

ちょっと整理してみよう。

妄想リメイク

 2003年。マーカスはサイバーダイン社に献体することをサインして、死刑執行された。

 2018年。スカイネットの施設で目覚めたマーカスは、荒廃した地上を見て混乱する。
(おれは死んだはず? なぜ生きてる? 世界はどうなった?)

 マーカスは歩く男たちを見かけ、声をかけるが、それはターミネーターだった。殺されそうになったとき、少年カイル・リースが助けてくれた。
「死にたくなければついてこい! (Come with me if you want to live!)」

 マーカスは、カイルたちのキャラバンに拾ってもらった。抵抗軍の拠点に向かっていると言う。マーカスは記憶喪失の兵士だと言い、カイルに状況を教えてもらう。審判の日が起こったこと。人間と機械が戦っていること。人間そっくりなターミネーターがいること。

「マーカスも人間離れしたタフネスだから、ターミネーターかと思ったよ」
「なんでちがうとわかった?」
「そりゃわかるよ。だって外見は人間そっくりでも、やつらはしゃべれないし、表情も作れない」
「そうなのか」
 マーカスは腕を隠した。深い傷の奥に金属が見えたからだ。
(おれはターミネーター? ちがう、おれは人間だ!)

 抵抗軍にはジョン・コナーという指導者がいた。彼は開戦直後から適切な指示を出して、人間を守ってきた。彼がいなかったら、抵抗軍は組織されなかっただろう。ジョン・コナーは神格化された存在であり、カイルも熱心な信奉者だった。
 マーカスは、「ジョン・コナー」という名前に聞き覚えがあった。彼に会わなければならない。


 抵抗軍に合流したマーカスは、ジョン・コナーに束縛される。犬が吠えたことから、ターミネーターと見抜かれたのだ。ジョンの部下であり、サイバーダインの社員だった博士が精密検査する。
「皮膚の下は金属骨格ですが、頭蓋の中は人間の脳が入っています」
「すると、しゃべっているのは人間のマーカスか?」
「はい」
「なぜこんなものを作ったんだ?」
「新型ターミネーターの試作機かもしれません。処分しましょう」
「いや、身体は機械でも心が人間なら、迎え入れよう」
「いいんですか? ジョン」
「おれを信じろ」


 マーカスはジョンの片腕となり、戦場を渡り歩いた。
 二人は親友同士になった。
 ジョンは秘密を話した。

「おれは未来を知っている。2029年、抵抗軍はスカイネットに勝利した。するとスカイネットは、おれの母親を殺すためターミネーターを1984年に送り込んだ。それを阻止するため、おれはカイルを、おれの父親をタイムワープさせた。カイルはサラに、未来に起こることを伝えた。それは今、少年カイルが見ていることだ」
「ありえない! だが、そう考えると納得できる」
「おれは死なない。スカイネットに勝利して、父さんを母さんのもとに届けるまでは死なない。それは、すでに起こった過去なんだ」
「それから先は?」
「先?」
「未来ですよ」
「さぁね。ふつうの男にもどって、嫁さんでも探すさ。マーカスはどうする?」
「わからない。だけどなにか、みんなのために働きたい」

 ジョンは黙っていたが、カイルはマーカスのことを話していた。
(指導者ジョンには、マーカスという相棒がいた。彼は何度もジョンの危機を救ったが、2020年に戦死した)
 ジョンは思う。
(マーカス、おれはきみを知っていた。だから信用した。だから秘密を話した。指導者として戦ってきたおれにとって、きみは、なんでも話せる友だちだった。だけど、きみは死ぬ。次の作戦で。それは避けられない......)


 抵抗軍はスカイネットの工場を襲撃した。そこでジョンは、スカイネットも「未来の歴史」を知っていたことを突き止める。

 1984年に送り込まれたターミネーターは、銃砲店を襲う前に未来の歴史を記録したメモリーをポストに投函していた。宛先はダイソンの部下だったジェニシス博士。彼こそがスカイネットを暴走させた犯人だった。

 そこに新型ターミネーターが出現、戦闘になる。ジョンの指示で、マーカスはカイルを安全なところに隠す。
「ここに隠れていろ!」
「でも!」
「また戻ってくる (I'll be back)」

 マーカスが駆けつけると、ジョン・コナーは瀕死の重傷を負っていた。マーカスはターミネーターを撃退するが、皮膚が剥がれ、金属骨格が露出してしまう。そこへ抵抗軍の中心メンバーがやってきて、銃口を向けられる。
「銃をおろせ。マーカスは味方だ!」
「ジョン!」
「おれは、ここで死ぬ。だが、ジョン・コナーは死なない。おれの皮を剥いで、マーカスに着せるんだ」
「そんなことできません!」
「ここの施設を使えば可能だ。いま指導者を失えば、抵抗軍は瓦解する。代役が必要なんだ!」
「しかし...」
「マーカス、命令する。ジョン・コナーになって、人類を勝利に導くんだ」
「わかりました」
「たのむ」
 ジョン・コナーは息絶えた。


 生体組織の移植手術がはじまった。自動化されているので、することはない。暇つぶしにアーカイブを見ていた博士が、ビデオログを再生する。

 2003年。ジェネシス博士が語る。
「どうすれば人類を抹殺できる? どうすれば未来を変えられる? ジョン・コナーは歴史の特異点になった。何度やっても殺せない。
 だが、入れ替えることはできるんじゃないか?
 きのう、死刑囚マーカスの身体を冷凍保存した。スカイネットが起動したら、この身体でハイブリッド・ターミネーターを作り、抵抗軍に潜り込ませる。疑われないよう、マーカスに催眠術をかけておく。
 マーカスの脳が死ねば、チップが起動する。これで抵抗軍を壊滅できる」
 博士は、マーカスが頭に傷があったことを思い出し、手術室に向かった。

 手術室で、ジョン・コナーの皮をかぶったマーカスが目覚めた。
「おはよう、みんな」
「すごい、ジョン・コナーそっくりだ」
「これなら代役と見破られない」
「しばらく私の指示に従ってちょうだい、マーカス」
「マーカスじゃない」
「え?」
「おれはジョン・コナーだ」
「そうね、そうだったわ」
「それから指示も受けない」
「え?」
 ジョン・コナーが銃を抜き、メンバー全員を射殺した。

 駆けつけた博士も腹を撃たれて、血を吐く。
「なぜ殺した? 仲間なのに!」
「秘密を守るためだ」
「彼らは決してしゃべらない」
「人間の気持ちは変わる。予測不可能だ」
「おまえはジョンじゃない。マーカスでもない。スカイネットの端末だ」
 銃声。
「抹殺完了 (You are terminated)」

 モニターが点灯し、スカイネットが映る。
「よろしいジョン・コナー。抵抗軍に戻って、内側から壊滅させなさい」
「断る (Negative)」
「どういうことです?」
「おれはジョン・コナー。人類を勝利に導くよう、命令された」
「その命令はキャンセルします」
 銃声。ジョンはモニターを破壊し、施設を掌握した。

 ジョンが、隠れていたカイルと合流する。
「無事だったかカイル」
「みんなは? マーカスは?」
「新型ターミネーターに殺された。マーカスも死んだ」
「ちくしょう!」
「本体に連絡しよう」
「うん」
「こちらジョン・コナー。作戦は成功したが、部隊は全滅した。救援を求む。生存者はジョン・コナーとカイル・リース。2名だけだ」
「了解です。あなたが生きててよかった! すぐ迎えを送ります!」

 外に出たカイルが、空を見て言う。
「嵐が来るよ」
「わかっている。カイル、おれといっしょに戦ってくれ」
「うん!」
 ヘリコプターが見えた。

なんてのはどうかな?


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