レビュー  1985年11月15日  に発表された 

必殺仕事人V・激闘編 (全33話)

3ツ星

仕事が仕事になってしまった

寂しさに宿を立ちいで眺むれば 空に真っ赤な雲の色
この世は真っ赤な嘘ばかり
嘘と悪とで押しつぶされた お前に代わって悪人どもを
真っ赤な血潮で染め上げましょう

仕事が済んだその上は これやこの行くも帰るも別れては
知るも知らぬもお前と私 仕事人の掟でござんす

ナレーター:芥川隆行

『必殺仕事人V』は大いに盛り上がった。つづく『必殺橋掛人』もしぶかった。なので『V・激闘編』への期待も大きかったが、どうにも演出が噛み合わなかった。

政が鍛冶屋に転職したのはいい。私も学校帰りに木の枝を折るくせがついていたから、妥当な修正だろう。しかし竜の活躍が減ったのは納得できない。政と竜は、べつにコンビでも親友同士でもないんだけど、勝手に関係性を妄想していたから、そうした絡みが描いてほしかった。

闇の会 - ドラマを断絶させる仲介業者

猛烈に気にらないのは闇の会。いちおう、闇の会が成立した背景も描かれているんだけど、仲介業者が入ったことで仕事(晴らせぬ恨みを晴らす義憤の行動)が、仕事(小銭を得るための労働)になってしまった。
もちろん、毎度毎度、頼み人が仕事人に仕事を金をわたして事切れるのは不自然だ。レギュラーとの絡みが増えるため、撮影も難しくなるだろう。しかし根幹部分が効率化されてしまうと、彼らはただの暗殺者でしかない。
いや、まぁ、最初から暗殺者であり、ヒーロー性も繰り返し否定されてきたけど、それでも視聴者は仕事人(中村主水チーム)をヒーローとして見ている。だから頼み人の無念に共感してほしい。仕事の料金や条件を競り合ってほしくない。

隠れ家に集まって、悲しみと怒りに震えるシーンもない。加代が個別にお金を渡し、指定されたターゲットを殺す。その繰り返し。そうじゃないだろ!

はぐれ仕事人 - なぜ3人セットだったのか?

『V・激闘編』では、はぐれ仕事人の壱、弐、参が登場するが、彼らの位置づけも中途半端だった。壱ばかり出番があって、弐と参がほとんど出てこないことも問題だが、そもそも壱と弐と参の関係性がなきに等しい。3人はほんとにスポットヘルプであって、頼み人のドラマに関与せず、お金だけもらって去っていく。そこにドラマがないなら、セミレギュラーと位置づけるべきじゃなかった。

  • ... ほぼレギュラーであり、レギュラーがやるべきことをやっていた。しかし表の職業がなく、素性もわからないため、感情移入しづらかった。悪くはないんだけど、私は竜と政を見たかったから、「おまえじゃない」とつねに思っていた。
  • ... 登場回数は6/33。もっとも目を引くし、どんなふうに殺すか興味も湧く。出番が少ないから期待されたが、レギュラーだったら飽きられただろう。
  • ... 登場回数は5/33。どう見ても笑福亭鶴瓶だから、シリアスな顔をしてもなじまない。ポッペン売りだが、ポッペンを作っているわけじゃない。そもそもポッペンで殺すって、無理がある。体術、話術に秀でた描写も少なく、ただの中年って感じだった。

進化した組紐

よかった点をあげると、やはり進化した組紐だろう。『V』にくらべ黒と赤→緑、やや太め→細い、先端に鈴→三角錐の分銅鋲、に変わった。この分銅鋲が大きい。壁や梁などに刺すステップが入ったことで、紐が首にからまる物理的な説得力が増した。また分銅鋲を刺すことで、ものを引き寄せたり、払いのけることもできる。見事なブラッシュアップだった。勇次の三味線は、まるっきり魔法だったからね。
竜のドラマは少ないが、レギュラーだから毎回殺しに参加しており、毎回工夫を凝らしてくれたのは嬉しかった。

政の新たな殺し道具となった組み立て式の手槍は、まんま武器なので、いまひとつロマンがなかった。まぁ、手槍の組み立ては、飾り簪を回転させるステップに並ぶ興奮はあったけどね。

時代劇は必殺です。歌は、女は海。

放送当時、私は14歳で、中学3年生。
がっつり見た必殺シリーズは、このあたりまで。

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必殺仕事人V・激闘編 (全33話)