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[レビュー1942年11月26日に発表された 

カサブランカ

Casablanca

「あなたが決めて」

鑑賞したのは2017年だから、75年も前の映画になるが、おもしろかった。厳しい時代、男と女と男、あまたの名ゼリフ、『アズ・タイム・ゴーズ・バイ』の弾き語り。たまらない。時代を超えて語り継がれるのも納得だ。

とはいえ最初は戸惑った。私の目には「第二次世界大戦前夜を舞台にした物語」だが、当時の人達にとっては「いま現在の物語」だから、状況説明はいっさいない。予備知識がないまま見ちゃうと、わけがわからないだろう。私自身、若い時に見ていたら「ふうん」としか思わなかっただろう。
もちろん、本作が大戦前夜の世情をそのまま記録しているわけではない。映画は映画であって、ドキュメンタリーや歴史の本じゃない。そうした視点をもつようになったのも、40代になってからだ。

イルザ(イングリッド・バーグマン)が選択を放棄するのがいいね。どちらの愛も本当だから、選べないのだ。ここで「ついてこい」というのも男だが、「おれたちにはいつも思い出のパリがある」と言えるのも男だ。
リック(ハンフリー・ボガート)はなにを思って2人を逃したのだろう? 自分よりラズロ(ポール・ヘンリード)に価値があると思ったわけではあるまい。ラズロから引き離したイルザを幸せにする自信がなかったのかもしれない。どうにも止まらない男の矜持。どうにも馬鹿だが、かっこいい。
そしてルノー署長(クロード・レインズ)に驚いた。あれは打算の結果であって、正義や友情を選んだわけじゃないだろうが、それでいい。そのくらいがいい。

鼻歌を歌いたくなる。
映画って、いいものだな。

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