レビュー  2007年07月28日  に発表された 

レミーのおいしいレストラン
Ratatouille

5ツ星

あまりに冒険的! だからこそ!

設定が無茶なので、どう決着つけるのか気が気でなかった。ネズミたちの危機管理能力の高さ、レミーだけに見えるグストーの霊、リングイニの相続権、コレットとの恋は、じつは本筋に関係ない。これだけ要素を詰め込んで混乱させないのは見事だが、不安は高まる一方だ。しかし気づけば感動していた。

批評家イーゴの気づきに感銘を受ける。そして考える。私はイーゴのように新しい才能を守れるだろうか? これ以上は言葉がつづかない。イーゴの批評を記載しておく。

 評論家というのは気楽な稼業だ。危険を冒すこともなく、料理人たちの努力の結晶に審判を下すだけでいい。辛口な評論は書くのも読むのも楽しいし、商売になる。だが、評論家には苦々しい真実がつきまとう。たとえ評論家にこき下ろされ三流品と呼ばれたとしても、料理自体のほうが評論より意味があるのだ。
 しかし、ときに評論家も冒険する。その冒険とは新しい才能を見つけ、守ることだ。世間は往々にして新しい才能や創造物に冷たい。新人には味方が必要だ。
 昨夜、わたしは新しいものにめぐり合った。思いもよらない作り手による素晴らしい料理を味わえたのだ。作品もその作者も美味しい料理についてのわたしの先入観を大きくくつがえした。これは決して大袈裟な表現ではない。まさに衝撃だった。
 かつてわたしは「誰にでも料理は出来る」というグストーシェフの有名なモットーをあざ笑った。でも、ようやく彼の言いたかったことがわかった気がする。誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が偉大な芸術家になってもおかしくはない。グストーのレストランの新しいシェフは恵まれた環境で生まれ育ってはいない。だが、料理の腕において、フランスの彼の右に出るものはいまい。近いうちにまた訪ねるとしよう。今度はもっとおなかを空かせて......

──アントン・イーゴ
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