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[レビュー1976年11月21日に発表された 

ロッキー

Rocky

リングの上より熱く、負けられない戦い

ちゃんと見たのは2013年。『4』しか見てなかったから、ロッキーを誤解していた。もっと早く見るべきだった。

エイドリアンがいい。地味で、内気で、ロッキーの熱烈なラブコールにも無反応で、なのにロッキーはアタックをやめない。踏み込みすぎだと思ったが、驚きのノックアウト勝ち。そして大変身である。ロッキーに甘え、おしゃれして、駄目な兄貴に言うべきことを言う。まるで別人だ。本当の彼女を、ロッキーは最初からわかっていたのか? それともロッキーが望んでくれたから、エイドリアンは変われたのか?

本作はボクシング映画だが、殴り合っている時間はごくわずか。リングの上の戦いなんて、人生の戦いの中ではほんの一部だ。
「もし最終15ラウンドまでリングの上に立っていられたら、自分がただのゴロツキではないことが証明できる」
ロッキーが勝つことを目的に戦っていたら、勝てないとわかった時点で投げ出していただろう。強さの原泉が、勝利への渇望でなかったことは驚きだ。

ラスト、ロッキーは駆け寄るエイドリアンに「帽子はどうした?」と問う。エイドリアンの帽子! ロッキーは、エイドリアンのお気に入りまで把握していた。女のために戦う男は多いが、ここまで気遣える人物がいるだろうか?
細かなところまで演出されていて、ドキュメンタリーを見ているような安心感がある。もちろん、娯楽(作り話)だってことはわかっているが、リアルに、身近に感じられる。試合だけ見ても、こんな気持ちにならないだろう。

私はスタローンをマッチョなアクションスターと認識していたけど、まちがいだった。彼は生粋の映画人だ。「こういう映画を見せたい」という理念がしっかりしている。稀有な人物だと思う。

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