[リミット] BURIED

2010年 外国映画 3ツ星 密室

窒息する映画

生き埋めにされた男が、携帯電話で外部と連絡しながら脱出を試みる。木箱の中で男がもがくだけで(回想シーンすらなく)、1本の映画を撮ってしまうアイデアはすごい。しかし1時間35分の緊張を耐えぬいて、あんなオチでは気持ちが沈む。こうなると、電波が通る地中の深さはどのくらい? とか、蛇がいる土壌なのになぜ砂が? などと、細かいところが気になってしまう。

ポーの「早すぎた埋葬」で述べられたように、生き埋めの恐怖は大衆を魅了するが、そこばかり強調すると、1.助かって拍子抜け、2.助からず落胆、の二者択一となってしまう。
脅迫者は家族を殺された恨みからアメリカ人に復讐しているようだが、人物像は見えてこない。政府と会社に裏切られる主人公の立ち位置も、浮気相手の存在で不明瞭になる。脅迫者と主人公の対比をもう少し深めてほしかったが、そこをやり過ぎると主人公が政府関係者を生き埋めにするテロリストになってしまいそうだ。

イラク戦争の知識がないと状況がよくわからないのも減点。もっと普遍的な物語にして欲しかったが、まぁ、こんなものか。

ゆっくり文庫

ポー「早すぎた埋葬」をゆっくり文庫で取り上げたので、見て欲しい。

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