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[レビュー2010年10月09日に発表された 

乱暴と待機

Ranbou to Taiki

変質者たちの日常

特別な事件が起こらない日常を描いた作品だが、本作は登場人物がそろって変質者なので、取っつきにくくなっている。駄目男の番上(山田孝之)、凶暴なあずさ(小池栄子)、嫌われることを恐れて誰とでも寝てしまう奈々瀬(美波)、のぞきが趣味の英則(浅野忠信)。かろうじて保っていたバランスが揺らぎ、崩れていくのはおもしろかった。

4人の中では、奈々瀬の異常性が飛び抜けている。彼女は決して本心を見せない。困ったり、悲しんでいるように見えても、それが本心とは思えない。奈々瀬はなにを考えて高校の男たちと寝たのか? あずさが奈々瀬を警戒する理由はなにか? そのあたりがずっと気になっていた。
しかして真相は、私が期待するほど異常じゃなかった。奈々瀬は見たまんまの人物で、隠された悪意もなかった。英則が奈々瀬にこだわる理由も、余人には理解できない性癖でしかなかった。あずさも番上との関係を精算できてしまった。別れられるなら、奈々瀬を警戒する必要もなかった。

物語を経て、なにが変わっただろう? 彼らは自分たちの異常性に気づいただろうか? なにも変わっていないような、変わるはずもないような。そう思うと、なんだか虚しくなってしまった。

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