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[レビュー2010年09月25日に発表された 

十三人の刺客 (リメイク/役所広司主演)

13 Assassins

太平の世に飽きた男たちの集団自決

痛快時代劇に見せかけて、おぞましい毒が散りばめられている。それが意図した演出なのかは不明だが、受ける印象はきわめて悪い。このメッセージはなんなのか?

日本が世界と戦って、原子爆弾で粛正される百年前も、やはり日本人は支配者の横暴を止められずにいた。序盤、斉韶の悪行が徹底的に描かれるだが、徹底的すぎてストレスになる。だるま女の全身を映す必要があったとは思えない。
それを見て、笑ってしまう新左衛門。求めていた死に場所が見事に揃ったことを喜んでいるのか。彼は「民衆のため」と言うが、実際に上司に命じられたことであり、自分のためである。そして斉韶には「民衆のため」と宣言したのに、「黙って飾られていればいいものを」と吐き捨てる。新左衛門は民衆の代表ではなく、権力構造の一員でしかない。
決着後、暴君の死を喜ぶものは民衆の姿はまったく描かれない。生き残ってしまった新六郎は、新たな死に場所を求めるだろう。その条件が整ったとき、きっと笑ってしまうはずだ。明治維新か日露戦争あたりで死んだのだろう。

そう考えると、無謀な乱戦に突入したのも頷ける。彼らの目的は将軍ではなく、かっこよく死ぬことなのだ。11人は成功し、1人は失敗し、1人は妖怪だった。この後味の悪さは、いかんともしがたい。
痛快時代劇と見せかけてこれはないよ。

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