ユー・ガット・メール You've Got Mail

1998年 外国映画 3ツ星 恋愛 電脳

「すぐ私たちは思い出になる」

2013年に鑑賞したから15年前か。当時はインターネットじゃなくてパソコン通信で、モデム、メール、チャット、AOLだった! 外出先でメールチェックもできない! そして、そう本屋だよ! 本が売れていた時代だ! 時代を感じるなぁ。

相手の素性を知らないまま恋に落ちる物語は、昔からあった。通信手段は手紙、無線、電話があって、メールになり、やがてアバターになるだろう。普遍的だけど、おもしろい。
最初の待ち合わせで、ジョーの友だちは「やめておけ」と忠告し、キャスリーンの友だちは一斉に慰めてくれる。その対比がよかった。思えば、このあたりが最高潮だった。

中盤になり、「古いものと新しいものの対立」がもう1つのテーマであることに気づく。キャスリーンの老舗書店は奮闘むなしく閉店し、新たな人生を模索する。それは老舗書店を守りきるより、感動的だった。本が売れなくなると、ジョーのビジネスも「古いもの」になる。世の中の移り変わりは早い。

終盤は首をかしげる。ジョーは情報格差を利用して、キャスリーンの心を試すのは、あまりいい印象がない。最終目的は、「NY152」ではなく現実の自分を選んでもらうことと思っていたが、そうじゃなかった。キャスリーンも鈍感すぎる。お見舞いで花をもらったとき、ジョー=NY152と気づき、知らないふりをしてると思っていたが、そうじゃないのか? 気づいた演出も、気づいてない演出もあるから、混乱する。

相手の素性がわかっても、心の中はわからない。仮面をしたまま交際し、なんとなく同意を得る展開は、いささか物足りなかった。

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