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[レビュー2011年05月07日に発表された 

星を追う子ども

Children who Chase Lost Voices from Deep Below

出来合いのパーツを使えば、テーマを察してもらえるか

ジュブナイルの王道をきちんと歩んでいるため、いつ荒唐無稽な展開になるか、ハラハラしながら見てしまった。物語が佳境に入ると、今度はすんなり終わってしまうことを恐れた。しかし終盤はオーソドックスな中にも意外性があって、おもしろかった。完成度は高い。

多くの人が指摘するように、ジブリ作品へのオマージュが多すぎる。出来合いのパーツを寄せ集めた二次創作のようだ。しかし宮崎吾郎氏の作品に比べ、格段にわかりやすい。語るべきことは語り、大切なことは察してもらう。そこに新海監督の作家性を感じる。
たとえば、少女アスナはいい子だが、その内面には冒険心があふれていた。自分が自分でいられないことへの苛立ちを、アスナは「さびしい」という言葉で表現するが、その根っこは深くて重い。やがて彼女は、そんな自分が愛されたことに気づき、強くなる。一連の流れはセリフで語られないが、受け手が感じとるべきものだろう。あるいは、新海監督はメッセージを読み取ってもらうために、出来合いのパーツで組んだのかもしれない。

正直言えば、新海監督の作品はわかりにくかった。語るべきことを語らず、さらに大切なことを察してもらおうとするのは無茶なのだ。そういう意味で本作は、新海監督の「意欲作」と言えるかもしれない。私はこの方向性でいいと思う。

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