メリダとおそろしの森 Brave

2012年 外国映画 4ツ星 ファンタジー:剣と魔法 ファンタジー:童話 家族 @ピクサー @ピクサー長編アニメ

母親の成長を描いた物語

ファンタジーの定石を外し、迷走しているようにしか見えないのに、不思議とおもしろい。譜面のない即興演奏のようだ。

メリダは結婚をいやがるが、ほかに好きな人がいるわけじゃない。候補者の人柄も見ていない。候補者たちもメリダを見ていない。大衆の面前で恥をかかされても、まったく反応しない。じつにもどかしい。母親が熱心に結婚をすすめる理由が、ただ伝統と言うだけじゃ弱い。母親も最初はいやがったけど、結婚したら素敵な人だったなら、そう言うべき。もろもろ言葉が足りない。

この物語の本質は「結婚」じゃなく、「母と娘の確執」だった。鬼火の導きも、モルデューの呪いも、視覚的に目をひくメリダの髪や弓も関係ない。こんなに散漫なのにおもしろいのは、映像の迫力か。

映像はすごい。ちぢれた髪、熊の巨体、鮭の張り、濡れた岩肌...。緻密なのに、不気味の谷に堕ちてない。CGはここまで表現できるようになったのか。

個人的には、石碑を修復してモルデューの魂を救ってほしかった。しかし特典映像「モルデューの伝説」を見ると、同情心も薄れた。これはこれでいいのか。

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