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[レビュー2011年10月29日に発表された 

ゴメンナサイ

Gomennasai

メタ構成がおもしろい

あらすじ

日高由香(鈴木愛理)は高校三年生。小説家になることを夢見ているが、クラスメイトの黒羽比那子(夏焼雅)の文才に圧倒されてしまう。黒羽の容姿や言動は不気味で、クラスから浮いた存在だった。同じクラスの園田詩織(嗣永桃子)は、テストで黒羽に勝てなかったことを逆恨みして、彼女をいじめるようになる。直接的な暴力は振るわず、人々の無関心を利用した陰湿なやり方だった。ある日、園田は文化祭の出し物となる芝居の脚本を黒羽に押しつける。立場を利用して徹底的にいじめる魂胆だったが、黒羽が書いた脚本には読んだ人を無差別に殺す呪いがかけられていた。

まったく期待せずに見たせいか、意外に楽しめた。3つのパートに分かれており、第1パートで呪いが猛威を振るい(現在の現象)、第2パートで黒羽の呪いに傾倒していった経緯が明かされ(過去の原因)、第3パート(その後の対策)で主人公が後始末に失敗する。よくあるJホラーなら1、よくて2までだが、3まで描いたのは新鮮だった。最後の最後でタイトルの意味がわかるのもおもしろい。

家庭で無視され、学校でいじめられ、余命わずかと宣告された少女が、人を殺す能力を身につけたとしたら? 黒羽の行動は大いに納得できる。納得できない点は2つある。1つ目は、妹を殺しておきながら、両親を生かしておいたこと。それは人間性の現れか、あるいは苛烈な罰なのか? 2つ目は由香へのアドバイス。呪いを解く方法があるとしても、それを教える義理はない。黒羽は、由香に止めてほしかったのか? それとも由香に才能の差を思い知らせたかったのか?
悲しいことに、由香には文才も情熱もなかった。それどころか自分が生き残るため、呪いを拡散させてしまう。由香に文才があれば、もしくは、いじめを止める勇気があれば、こんなことにはならなかった。見て見ぬふりをしたことの罪が問われているようだった。

文字で人を殺すというアイデアは無茶苦茶だが、「怨念を込める」とか「血を混ぜたインクを使う」といった儀式で補強していた。ところが終盤はもろもろの制約が解除されてしまう。ご都合展開とも言えるが、オカルト的な原理を考えるとおもしろそうだ。

本作でもっとも気に入ったのは、すべてが由香の手による劣化コピーだったこと。黒羽が言うように、由香には文才がなかった。だからおもしろさも、リアリティも、呪いの効果も中途半端になっている。「黒羽」という名前や不気味な容姿も、由香の稚拙な創作と思えば納得できる。また黒羽の境遇も、黒羽から聞いた話を由香が文章にしているわけだから、おのずと信頼性が下がる。どこまで狙った構成かは知らないが、おもしろいと思った。

それからクレジットロール後のおまけ映像がよかった。ここにもメタ構成を仕込むとは。いやはや、やられたよ。

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