イースターラビットのキャンディ工場 Hop

2011年 外国映画 1ツ星 ファンタジー:童話

駄目人間の楽園は地上にない

問題を抱えた主人公が試練を経て成長する。それがドラマの本質である。ところが本作の主人公はなんの苦労もせず、悪癖と向き合うこともなく、まんまと成功を手にしてしまう。こんな映画を、子どもに見せるのは好ましくない。かといって大人が楽しめるものでもない。

主人公は問題に直面するたび、ウソでごまかしてきた。子どものころからずっとそうしてきたのだろう。ウソをつく能力はきわめて高い。ウソをつくことに後ろめたさもない。あとから指摘されても、またウソを重ねればいい。きわめて駄目な人間だ。
働かない理由はなんだろう? やりたくないから? ではなにがやりたいの? やりたいことを見つけようとしてるの? そんな自分を嘆いたり、焦ったりすることなく、漫然と、怠惰に過ごしてきただけ。イビーに接しても、自分を省みることもない。なんなんだ、こいつ?

主人公はイースターラビットの仕事をよく知らないまま引き受けてしまう。ウサギにできて、ヒヨコにできない仕事であり、深刻な後継者問題を抱えているところへの立候補だが、大丈夫なのか? まぁ、どうせすぐ適当なウソをついて逃げ出すだろう。

見方を変えると、技能も資格も意欲もない駄目人間にぴったりな仕事は、この地球上に存在しないというメッセージかもしれない。

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