レビュー  2011年10月14日  に発表された 

遊星からの物体X ファーストコンタクト
The Thing

3ツ星

見栄えだけよくしたリメイク

もろもろ早すぎる。物体Xが姿を見せたり、その性質や判別法がわかるのが早い。物体Xが人間を騙すことをあきらめ、モンスターになって暴れまわるのも早い。スピーディな展開ではなく、見たいところをスキップされたようだ。クライマックスの展開は『エイリアン』のリメイクのようだった。

ケイトは美しいだけでなく、正しくて、説得力がある。それはいいけど、ハルヴァーソン博士が対抗馬にならず、サム・カーターも存在感がないため、ケイト vs 物体X という構図になってしまった。
見たかったのは、隔離された空間で人間同士が疑心暗鬼になるところだ。正論を唱えても、権威に一蹴されたり、恐怖で無視される。1982年版のマクレディも、話を聞いてもらうためにダイナマイトを用意せざるを得なかった。2011年版はケイトの非力さをごまかすため、早めに物体Xを暴れさせたように見える。

本質的には、物体Xに物理的な攻撃力はいらない。Xは人間のふりして外界に脱出できれば、それだけで勝利するのだから。調査隊メンバーが優先すべきはXの封じ込めと駆除であり、自分だけ生き残ろうとする行為は裏切りとなる。
疑惑をかけられ、反撃してくるのは人間かXか?
仲間を見捨てて逃げようとするヤツは人間かXか?
そうした緊張感やサスペンス要素が、2011年版にはなかった。

さらに突っ込むと、物体Xの行動は支離滅裂だ。擬態に時間がかかるのに、オラフが見ている前でヘンリクを襲ってどうする。せっかくグリグズに擬態したのに、いきなり正体をさらしてヘリを墜落させ、あまつさえカーターとデレクを取り逃すとは。敵の存在を訴えたケイトの抹殺にも失敗してる。研究所を破壊して危機感をあおるより、調査結果を改ざんしてケイトに疑惑を向けるべきだろう。まぁ、Xもまだ人間に慣れていなかったのだろう。

ラスト。ケイトはカーターの擬態を見抜いて始末するわけだが、いまひとつ覚悟や悲壮感はなかった。カーターとの関係が淡泊すぎたせいもあるが、カーターを殺すとケイトの生還が絶望的になることが描かれていないためだろう。映画の紹介記事によると、「人間だったかもしれない」と思わせる演出だったらしいが、ぜんぜん足りてない。カーターはもっと必死に釈明すべきだった。
もちろん、人間かXかを識別せず殺してもいい。ケイトはずっと理性的に行動してきたが、2人きりになると恐怖に駆られてしまうラストも悪くない。

あらためて1982年版を見なおすと、随所に無人の廊下や施設のカットが挿入され、基地が孤立している感じが伝わってきた。ケイトの場合、南極の専門家でなく、主要言語がわからず、かつ非力な女性なのだ。相当な不安を抱えていたはずだが、伝わってこない。ケイトはどこに行っても愛される女性なのかもしれない。

妄想リメイク

私が期待したストーリーをまとめてみた。ケイトの正義・正論を強調してみた。ぜひ読んでほしい。


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遊星からの物体X ファーストコンタクト