レビュー  1998年03月07日  に発表された 

名探偵明智小五郎 江戸川乱歩の「陰獣」 (稲垣吾郎主演)

2ツ星

底の浅い変態たち

あらすじ

 現代日本。明智小五郎(稲垣吾郎)は新進気鋭の探偵小説家。フェンシング仲間の浪越警部(きたろう)から推理力を高く評価されているが、事件捜査に興味はない。いま明智の関心は、美術館で見かけた美しい女性・小山田静子(秋吉久美子)に向いていた。尾行して親しくなると、静子から悩み事を相談される。

 静子は昔の恋人・平田一郎(宇崎慧)から脅迫を受けていた。静子の夫である実業家・小山田六郎(寺田農)は嫉妬深い男だから、表沙汰にせず解決したいという。平田は大江春泥という小説家だった。明智は大江春泥の作風を嫌っており、批判論評を掲載したこともある。明智は探偵型、大江は犯罪者型の小説家なのだ。明智は大江の正体を突き止めると約束する。

 しかし大江は正体不明の作家だった。担当者の本田は大江とその妻に会っているが、素性を掴むには至らない。大江とおぼしきマスクの男は小山田六郎の愛人2名と運転手を殺害しており、警察も行方を追っていた。明智は小山田六郎が大江春泥ではないかと考え、証拠も見つけるが、釈然としない。そんな矢先、小山田六郎が大江春泥と思われるマスクの男に殺される。明智は、大江春泥が自分を挑発していることに気づく。
 未亡人となった静子は明智を誘惑し、ふたりは関係をもった。

 その後、警察は大江春泥を見つけるが、交通事故で死亡。事件は解決したと思われたが、明智は平田が十年前に死亡していたことを突き止める。真相を見抜いた明智は、静子を訪ねる。
 一連の事件は静子の自作自演だった。静子は余暇をつかって推理小説を書いて発表。正体を隠すため、ホームレスを使って大江春泥を演出した。その後、自分にとって都合の悪い人間を4人殺害すると、仕掛けを使って被害者のふりをしたのだ。最後にホームレスを轢き殺して口封じ。これで証拠はなにもない。

「よく考えて、正しい道を選んでください。
 このままあなたとの関係を続けていくことは、ぼくの良心が許しません
 ・・・・・・では、さようなら」

 明智は静子を本気で愛していたが、別れを告げる。静子は最後まで自分は大江じゃないと訴えていたが、翌日、服毒自殺した。明智は思う。本当に大江は存在しなかったのだろうか、と。

原作にない明智小五郎を引っ張り出すのはいいが、犯罪捜査に興味がないのはショック。ぜんぜん探偵型作家じゃないじゃん! 静子(秋吉久美子)もただの色情狂で、嗜虐心をそそる魔性がない。物語の核となる2人の熱情、懊悩が浅いため、のっぺりした事件になってしまった。

ラストは江戸川乱歩が修正し、のちに戻した初版通りになっていたが、死んだはずの平田とすれ違っただけでは弱い。静子の中に平田への未練があったなら、あるいはと思わせるのだが。静子は平田、小山田、明智と、3人の男に調教されたわけだが、特別な思いがあったようには見えない。ゆえにさっぱり響かない。

謎を解き明かさずにいられない探偵と、追い詰められないと興奮できないマゾ。
テレビで描くのは難しいテーマだったか。

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