レビュー  2013年09月04日  に発表された 

Outlast (PC)
OUTLAST

4ツ星

恐怖演出はすごいが、ストーリー演出は足りない

怖いゲームだった。攻撃手段がないため、危険なものを先に排除できない。いまは徘徊するだけの異常者が、いつ牙を剥くかわからない。もし襲ってきたら、どこへ逃げて、どこに隠れるか? 受け身の弱さが、緊張を何倍にも高める。なにか起こってからより、なにもない「間」が怖かった。
音響も優れいてる。自分のハーハーという息遣いが周囲に漏れているように思い、ぐぐっと息を殺してしまう。また敵が出現するまえに緊迫した音楽が流れることで、「なんだかわからないけどヤバイ」と焦る。大きな音でびっくりさせるだけじゃない。じつに巧みだ。

精神異常者たちの挙動がおもしろい。現代の技術では、ポリゴンキャラはどうしても挙動不審になる。同じことの繰り返し、あるべき反応がない、会話が成立しない、唐突に行動パターンが変わる...。しかし本作で描かれるのは精神異常者だから、挙動不審であることが説得力になる。
ポリゴンキャラクターの造形を人間に近づけていくと、「不気味の谷」に落ちると言われている。言動も同じで、なまじ人間に似ているからこそ、ちがいが目立つ。本作は、そうした効果を恐怖に転用している。逆転の発想と言えるかもしれない。

しかしストーリーは弱い。シンプルにして脱出ゲームに特化しているように見えるが、あんがい状況は複雑だし、ラストもカタルシスがない。しかしまぁ、ストーリー演出を加えたら一気に制作コストは上がるから、これはこれで悪くないのだろう。

ストーリー(結末まで)

元ナチスの科学者(Rudolf Wernicke)が、ナノマシンの集合体を人間が操作するための理論(Morphogenic Engine)を確立した。これに目をつけた巨大企業(Murkoff Corporation)は、博士の死を偽装して、山中にある精神病院(Mount Massive Asylum)を秘密の実験場にする。患者に強烈な苦痛と恐怖を与えることで、精神を変容させるのだが、多くの被験者は発狂した。

ある若者(Billy Hope)が適合し、Walrider という状態になったが、理性を失って制御不能になる。武装集団が出動するが、まったく歯が立たない。病院は荒廃し、影響を受けた患者や医者が変異体(Variants)になった。彼らはWalriderを神として崇めた。

タレコミを受けて、ジャーナリスト(Miles)が施設を訪れる。異常な光景に逃げようとするが、奇妙な神父(Martin Archimbaud)になにかを注射され、施設の深部へ連れて行かれる。Milesは筋肉巨漢(Chris Walker)や拷問マニア(Richard Trager)、全裸兄弟(Brothers)の魔手から逃れつつ、散逸した資料を集める。

地下施設に避難していた科学者(Rudolf Wernicke)から真相を聞かされたMilesは、危険なBillyの殺害を依頼される。サポート電源を切ることでBillyを殺すと、Walriderは霧散した。瀕死の状態で脱出しようとするが、科学者の裏切りによって射殺される。
そのとき苦痛と恐怖が極限に達し、MilesはWalriderの次の宿主になった。

重箱の隅をつつくようだが、気になったところをメモしておく。
資料をたんねんに読まないと事実関係を把握しづらい。Walriderが神として崇められていることを、もっと強調してほしい。変異体が、ただの異常者とちがうところを描いてほしかった。たとえば彼らは死ぬことなく、無限に殺しあうとか。正気を保っている人物がいればアクセントになったかも。ビデオ映像に価値がほしかった。



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