レビュー  2013年01月12日  に発表された 

ネオ・ウルトラQ (全12回)
Neo Ultra Q

4ツ星

オチを拒否した世界

『ウルトラQ』(1966)、『ウルトラQ dark fantasy』(2004)に続くサードリバイバルだが、なぜかセカンドシーズンと位置づけられた。『-dark fantasy』はリメイクらしいが、ちがいがわからない。なかったことにしたいのか?

作品の雰囲気は、なるほどオリジナルに近い。登場人物をほとんど説明しない。怪獣出現が当たり前。SF的なアイデアで引っ張って、ぶん投げてオシマイ! ほとんどのエピソードが解決せずに終わるのは、オチをぼかすとか、オチを思いつかなかったわけじゃなくて、オチを拒否する方針だったように思う。
47年前のドラマの悪癖をあえて継承する意義があるとは思えないが、オチがないことによって独特のモヤモヤ感が残った。この後味は、『ウルトラQ』が『世にも奇妙な物語』と一線を画すところだろう。まぁ、『怪談新耳袋』に似てしまった気もするが。

1. クォ・ヴァディス

記念すべき第1話。怪獣保護団体ってのはおもしろい。それだけ怪獣が当たり前で、それほど被害を出さない存在なのだろう。結局、怪獣は無害どころか恩恵をもたらす存在だったわけだが、それは大衆にどんな影響を与えたのだろう? ゴメスを倒すと、残ったリトラが暴れるようなオチでよかったんじゃないか。

2. 洗濯の日

第1話で怪獣と人間の共存を問うておきながら、2話目でそれが叶っているという異次元の構成。オリジナルの『カネゴンの繭』に相当する回か。誠意と能力ある怪獣が受け入れられるのは当たり前すぎておもしろくない。有能すぎて人間の洗濯屋が困るとか、クレームを受けて人間と同じくらいの能力に制限されてしまうとか、そういうオチでよかった。

3. 宇宙(そら)から来たビジネスマン

ヴァルカヌス星人に比べると、地球人・絵美子はわがままで、整合性がなく、約束も守れやしない。ここはもっと反省してほしい。常識を振りかざす人ほど、その危うさに気づいていないのだから。
結局、美樹は自分を「美しい」と評価してくれるヴァルカヌス星へ旅立つわけだが、彼らは外見ではなく負の感情を喜んでいるわけで、もてはやされて幸福になったら「美しい」と言われなくなる。このジレンマが未処理なのも残念だ。

4. パンドラの穴

真理探究とモラルハザードの対立がテーマかと思ったが、そうではないらしい。もともとマーラーなど存在せず、穴に充満したガスで幻覚が見えていただけではなかったか。

5. 言葉のない街

人造人間エピゴノイドが素晴らしい。表情だけで気持ちが伝わってくる。ちゃんと言葉にしても、絵美子が聞いてないのは皮肉だ。ここはツッコミを入れるべきだろう。「愛し合うため、不完全になりたい」という主張もSF的で、鮮烈な印象を残す。

6. もっとも臭い島

悪臭が香水となり、その原料が失われる展開はいいが、本人が怪獣化するオチは切れ味がにぶい。悪臭怪獣になったなら人間社会を捨てるべきだろう。主人公に背景がなかったのが痛い。自殺に失敗したOLや、調香師だったりすれば、話に広がりが出たと思う。

7. 鉄の貝

すでに広まってしまった認識を払拭するのは難しい。「未来が証明してくれる」「未来が証明してからでは遅い」というヤリトリは重かった。結局、まちがった方が駆逐されたわけだが、福田教授は「怪獣を駆除したことで災害を減らせた」と主張できるわけで、そうなった方がおもしろかっただろう。

8. 思い出は惑星(ほし)を越えて

国境を越えて困っている人を救おうとする精神と、宇宙を越えて困っている人を救おうとする宿命の対比はおもしろい。主人公の選択は、自分自身の否定につながるのだが、そのへんはどう解釈したのだろう。
ギ・ノールが地球とちがいすぎるため、飛び込む余地がなかったのは残念。いっそ過去や未来の地球から来た方がわかりやすかっただろう。

9. 東京プロトコル

プラーナにたよりきって努力しなくなった人類に、どんなしっぺ返しがあるのか。プラーナが失われて大きな負債を背負うのか。それともプラーナ依存によって温室効果ガスを排出しつづける呪いを受けるのか。しかして物語はあいまいな決着を迎える。
そりゃないよ、と思ったが、このグダグダ感も悪くない。パンダ30頭とか、ベーシック・インカム配給とか、狂っているとしか思えない世情もおかしい。バブル期の狂奔を揶揄しているのかもしれない。

10. ファルマガンとミチル

現状を受け入れることをよしとする彼氏と、現状を変えようとする怪獣の、どちらがやさしいのか。ありそうでなかった対比だが、怪獣の生命が犠牲になったことで物語は純粋性を失った。
「私には高飛びしかない」と言っていたのに、いざ治ってみれば「歩けなくても良いからファルマガンにいてほしい」と泣く。わがままだけど、高校生なら仕方ない。むしろミチルは、怪獣の生命が代償となることを知った上で、足を治癒してもらうべきだった。しかし陸上への熱意なんて、いずれは消える。そのときどう思うか見てみたい。

11. アルゴス・デモクラシー

怪獣保護を求めるテロリストと、怪獣撲滅を進める政治団体の人質が、民主主義を試すのに適したサンプルとは思えない。低い投票率を背景に当選した市長あたりの方が説得力があったと思う。政府も無能かつ没個性で、おもしろみがなかった。民主主義を試すという切り口は素晴らしかった。

12. ホミニス・ディグニターティ

人間の限界寿命144年を使い切るというコンセプトはおもしろい。しかし物語はよくある管理社会ものだった。「ホミニス」に選ばれた子どもたちは見たまんまの年齢らしく、ソーマの有用性もわかりづらい。長寿と引き替えに国に奉仕してもらうにしても、やり方が稚拙すぎる。
仁と外の世界に出て自由を満喫したのは、ヒカルの見た夢だった。共生するソーマが夢を見せていたとすればおもしろいのだが、そういうオチではなさそう。今さら主人公が不死身だったと言われても違和感があるだけで、なぜこんな終わり方をしたのか理解しがたい。

ネオ・ウルトラQは「怪獣との共生」がテーマだったように思う。全12話のうち、人間に害を与えたのは知的恐球 アルゴスくらい。暗黒悪意マーラーとヴァルカヌス星人は合意に基づく取引だから、悪意ある存在とも言えない。たまには悪辣な怪獣も出してくれないとバランスがとれないと思う。

おもしろかったとは言いがたいが、おもしろくなかったわけでもない。ただこうして「ウルトラQ」の名を冠する作品に出会えたことはうれしかった。あると思わなかった第3期。生きているうちに第4期も見てみたい。

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