レビュー  2016年10月19日  に発表された 

Borrowed Time
Borrowed Time

3ツ星

原作を見つけるべし

ピクサーの2人のアニメーターが仕事のあいまに作った短編。デフォルメされた人物造形と、風にそよぐ髪の毛のリアルさのギャップが、ピクサーらしい空気を醸し出している。暗く、静かな現在(夜)と、明るく、騒々しい過去(昼)の対比。セリフはなくとも伝わる心情。そして、ハッとなる瞬間。映像表現はすこぶるうまい。
ちなみに、タイトルを直訳すると「借りてきた時間」で、転じて、九死に一生を得て、天から授かったわずかな時間、おまけのような時間、という意味になるそうだ。

しかし、おもしろかった? と問われると困る。
罪の意識があったにせよ、保安官が崖から飛び降りる理由にしては時間が空きすぎている。ほかに大きな問題があって、自決するため思い出の地にもどってきたと思われるが、そのへんの事情はわからない。わからないことが、感動をやや損ねている。それに保安官は父親から借りてばっかりで、だれかの救いになるような展開もなく、ドラマのスケールが小さい。このあたり、2人のブレストの限界ではないかと思われる。2人がアニメーターであるなら、物語は過去の名作から借りてくるといいだろうと思うが、それじゃダメなのかな?

ピクサーには「Co-op Project」というプログラムがあって、審査を通った企画なら自社の機材を使って作品を制作できるらしい。もちろん本業に支障をきたしてはならないから、2人は早朝や昼休み、週末などを使って、5年の歳月を費やして完成させたと言う。5年のうち、実際の映像制作にどのくらい費やしたか知りたい。
制作の目的は、アニメは子どもが見るものという固定概念を打ち破るためとか。手塚治虫が漫画の地位を向上させたことを思い出す。であればこそ、文学作品のアニメ化がよいと思うけどね。
しかし5年は長い。もっと手軽に制作できれば、もっと多くの作品が発表され、すごいものが生まれてくるのではないだろうか。

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