レビュー  2014年02月12日  に発表された 

美女と野獣 (クリストフ・ガンズ監督)
La Belle et la Bete

3ツ星

テーマはなにか?

『美女と野獣』を1740年、ヴィルヌーヴ夫人によって書き上げられた。1756年、ボーモン夫人が短縮版を書いて出版。これが世界中で読み継がれるようになった。私はボーモン版で追加された要素(王子を野獣にした妖女が意地悪な姉たちを石に変える)は不要だったと思う。現在では、1991年のディズニーアニメ映画が有名だが、原典からの乖離が大きい。この映画はフランスとドイツの合作で、ディズニーアニメに比べれば原典に近いが、原典になかった要素もふんだんに盛り込まれ、結果、わかりにくいストーリーになっている。

たしかにベルの父親は商人で、事業に失敗して田舎に引っ込んだけど、そこを細かく描いてどうするのか? 3人の兄たちも父親の窮地に動かず、妹ベルの幸福を考えず、古城を略奪しようと乗り込むのは浅ましい。しかし兄たちを殺すわけにはいかないから、オリジナルキャラクターの借金取りペルデュカスを出して殺され役にしている。しかし兄たちの浅ましさも、古城の略奪と王子の反撃も、やはりテーマに簡易しない。

『美女と野獣』のテーマは、外見に惑わされず、やさしい心をもつ伴侶を見つけることだと思う。ヴィルヌーヴ版では野獣がいきなりプロポーズするから、ベルが心を開くかどうかが鍵となる。しかし本作の野獣には想い人がいるため、ふたりの心の動きを追わねばならない。これも面倒だ。
黄金の牝鹿(王女)も原典にないキャラクターだ。王子が野獣になった経緯としてはおもしろいが、王子がまだ雌鹿を愛しているならベルが入り込む余地はなく、王子が雌鹿のことを忘れていれば薄情に見える。どうして王子の心をフリーにしておかなかったのか? そもそも王子は自分の外見に悩む描写がなく、堂々とベルと接しているため、やはりテーマがぼけてしまう。

映像は美しいし、巨像が暴れまわるシーンは圧巻だが、ストーリーが弱いのではどうしようもない。
ディズニーアニメの呪縛を打ち破るものを期待していたが、残念な出来栄えだった。


【ゆっくり文庫】で取り上げてみた。お父さんの視点でつづってみた。ぜひご覧ください。

【ゆっくり文庫】フランスの民話「美女と野獣」

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美女と野獣 (クリストフ・ガンズ監督)