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[レビュー2013年11月27日に発表された 

バトルフロント

Homefront

まさかの良作

あらすじ

アメリカ南部の田舎町に引っ越してきたフィルと一人娘のマティは、穏やかに暮らしていた。あるとき、マティはクソガキに喧嘩をふっかけられ、ぶちのめす。クソガキの母親キャシーがと学校に乗り込んできて、ぎゃーぎゃー騒ぐ。フィルは穏便に済ませたいが、父親に掴みかかられ、ぶちのめす。怒りが収まらないキャシーは、麻薬密売人である兄・ゲイターに嫌がらせを依頼する。


穏便に済ませたいフィルは、キャシーたちに暴力を侘びて和解した。しかしゲイターは、フィルが元麻薬捜査官であることを知って、フィルの居場所を犯罪組織に教えて恩を売ろうと画策する。その連絡役としてゲイターの恋人・シェリルが送り込まれる。犯罪組織はシェリルを案内役にして、フィルの家を襲撃する。

フィルは侵入者を撃退。怖くなったシェリルは、マティを連れて逃げ出し、ゲイターのところへ向かった。怒ったフィルが追いかけ、ゲイターをぶちのめした。

シルヴェスター・スタローンが脚本・制作をつとめ、ジェイソン・ステイサムが主演したアクション映画。タイトルから内容をまったく想像できないまま鑑賞。原題の「Homefront」は、戦時中の「銃後」という意味らしいが、よくわからない。英語のニュアンスだと通じるのだろうか?

モンスターペアレント(キャシー)に圧倒される。こーゆーのはギャングの暴力よりストレスだ。学校や警察が味方してくれるのはマシだが、先の展開が不安になった。
どれほどストレスを溜めれば、武器を持たぬ民間人の殺害が許容されるだろう?
しかし意外や意外、フィルは謝罪して弁償した。マティはクソガキを誕生会に招いた。クソガキ親子もあわれな境遇が見えてきて、生き残りそうな予感。アクション映画なのに、暴力で問題解決しないなんて!

たとえばセガールなら、相手が手を出す殴って、蹴って、手首を負って、説教するだろう。ジェイソン・ステイサムも、正義の暴力をふるう資格がある。だのに、頭を下げた。自分はまったく悪くないのに!
なぜか? もちろん娘のためだ。では娘のためなら、正義が悪に頭を下げていいのか? しかし映画を見ていると、理不尽だが唯一の和解ルートだったとわかる。和解? アクションヒーローが和解を求めるとは。

もちろん一方的な譲歩はよくない。ジェイソンは「これで手打ちだ」と念を押し、不審な動きがあると行動を起こす。ところがここでも警告だけで、暴力は振るわない。視聴者は「キャシーの旦那は嫌がらせをしていない」とわかっているが、ジェイソンはわからない。殴って、ゲイターのことを吐かせると思ったのに、めちゃくちゃ意外。

鑑賞時、ゲイターの彼女(シェリル)と妹(キャシー)が区別できず、キャシー=兄貴とセックスする元娼婦、と思いこんでいた。マティが「知らない人」「黒い髪」と証言してもまだ、「暗くて見分けがつかなかったのだろう」と思ったくらい。それだけ私はキャシーを嫌悪していて、彼女が殺される理由を探していたのだろう。

銃撃戦がはじまっても、黒幕となるゲイターはその場にいない。どうすんのかと思ったら、シェリルが誘導してしまう。ほんとに先の展開が読めず、ハラハラする。ジェイソンがゲイターを追い詰めて、殺害確定と興奮したが、やはり娘のために踏みとどまった。まさかまさか。すごいよ。

引退した凄腕エージェントが、過去に因縁ある犯罪組織にからまれ、やむなく撃退する。そんなストーリーだろうと思っていたし、そんなストーリーで十分だった。だのに、そんなストーリーでありながら、あくまでも今は引退し、娘のために生きる父親でありつづけた。これはすごい。おもしろかった。

惜しむらくは娘に教えた格闘技が活かされなかったこと。家が襲撃されたとき、娘の反応はふつうの女の子と同じ。マーシャルアーツで、シェリルかゲイターを殴って逃げ出すくらいのシーンがあっても問題ないだろう。ここで使われないなら、護身術を学ぶ意味もない。まぁ、女の子は女の子。本番で技を出せないことは仕方ないから、「もっと強くなりたい」とか言ってくれると惚れたんだけどね。

ありきたりなストーリーなのに新鮮で、おもしろかった。

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