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[レビュー2015年07月14日に発表された 

ウルトラマンX (全22話+総集編3回)

ついに怪獣を殺さない時代へ

あらすじ

15年前、原因不明の「ウルトラフレア」によってスパークドールズが活性化。怪獣となって暴れはじめた。人類は特殊防衛チーム「Xio(ジオ)」を結成して、これに対抗する。このとき、2名の科学者が行方不明になった。彼らの息子・大空大地の手には、ゴモラのスパークドールズが遺されていた。
現在。大地はXioのメンバーになって、サイバーゴモラの実体化テストをしていた。すると溶熱怪獣デマーガが出現した。混乱の中、大地の携帯端末から声に導かれ、ウルトラマンエックスと一体化(ユナイト)する。

まだまだ『ギンガ』がつづくと思っていたから、『エックス』が告知されたときは戸惑った。そしてエックスのデザインを見て、近年の傾向である色の多さ、形状の複雑さに眉をひそめる。スパークドールズは継承されるが、設定はリセットされる。つまりスパークドールズとリードサインの新しい売り方を思いつき、そのため新しいウルトラマンが必要になったわけだ。怪獣の能力をモンスアーマーとして装備するのも、ウルトランスの応用だから、ウルトラマンギンガの第3期でいいと思うのだが、それじゃダメなのか? うーん。

すでに怪獣がいる世界

怪獣が宇宙や異次元から来訪するのではなく、地底や海底に眠っているスパークドールズがふいに活動を開始するという設定がおもしろい。人類は「怪獣をスパークドールズに戻す方法」を見つけていないようだが、これまでは怪獣を火力で制圧していたのだろうか? その周辺被害を考えると、ウルトラマンがよろけてビルが壊れたくらいは軽微なものだ。そうした実情がわかれば、怪獣をデータ化し、収縮させるザナディウム光線の恩恵も際立つ。
だのにXioは火力に注目し、ウルトライザーを強化した。第一話の実験もサイバーゴモラの実体化で、怪獣をスパークドールズに還元することじゃないのは奇妙に見える。第12話で「ダークサンダーエナジー」が降り注ぎ、怪獣はますます手がつけられなくなるが、こうしたときにこそ人類は「ザナディウム光線発生装置」で支援すべきだったのに。
それからスパークドールズが怪獣になるなら、発見されたら即座に隔離する必要がある。15年もつづいているのだから、そのへんの手順は洗練され、一般化しているはずだが、あまり描写されなかった。子どもの玩具であるスパークドールズを、危険物として描くことはできなかったか。

怪獣を殺さない

メビウスでさえ怪獣は殺していたが、エックスはスパークドールズにして無害化し、保護した。たとえ怪獣であっても殺傷しない時代になったのかと感慨深い。本作のテーマは絆で、主題歌でも、暴力を振るうまえに相手を理解しようと訴えている。しかしラスボスの虚空怪獣グリーザには悪意がなく、理解不可能な災害だった。どんなに対話を求めても、共存ができない相手もいる。このあたりの皮肉を描いてほしかった。

よくしゃべるウルトラマン

ウルトラマンエックスとユナイトした大地が、高所からの視点でよろける演出がいいね。特撮技術の進歩でウルトラマンや怪獣が大きく、近くに見えるようになったから、よろける気持ちがよくわかる。
そしてよくしゃべるエックスに興奮する。人間と一体化するウルトラマンは多かったが、ここまで会話した例はない。というか、ギンガは寡黙すぎた。会話できるウルトラマンは、今後のスタンダードになりそう。しゃべるエックスの真骨頂は、劇場版のカーナビだろうね。
ジオデバイザーは情報端末で、そのナビ音声がエックスとの会話を中継するのもよかった。最初はなぜ女性の声が交じるのか、不思議だったよ。

なぜ正体を隠す?

大地がエックスの存在を隠す理由がわからない。Xioのメンバーである大地には報告の義務があるだろう。支給品であるジオデバイザーが変化してエクスデバイザーになっているのに、だれも気づかないのも奇妙だ。政府やXioがウルトラマンの力を悪用すると思ったのだろうか? エックスが内密にしてくれと言ったのか? ファントン星人グルマンあたりが、「ウルトラマンであることは隠せ。でないと大混乱になる」とか言えばスムースだったのに。
最終回で正体が露見するのも、王道といえば王道だが、いまさらな感じがした。

こまごましたところ

戦闘機(スカイマスケッティ)や宇宙船(スペースマスケッティ)のコクピットは、車の座席をそのまま流用しているが、これは予算削減のためだろうが、個人的におもしろかった。ボタンやレバーがいっぱいあるコクピットもいいが、「お父さんが運転する車が空を飛ぶ」イメージの方がワクワクするだろう。そうした意図があるかどうか知らないが、よいアイデアだと思う。
Xioメンバーにファントン星人を加えたのもいいね。状況説明がスムースになっている。『メビウス』のメテオールもまた採用してほしい。
サイバーカードとモンスアーマーには抵抗感もあったが、「鎧をまとうウルトラマン」と考えれば納得できた。
エクシードXは微妙。エクスラッガーは玩具っぽさが強くて萎える。エクスデバイザーを強化してほしかった。
M1号が出てくる第19話「共に生きる」のようなSFマインドが好き。第5話「イージス 光る時」でゼロといっしょに写りたがるXが笑える。
ちょこちょこセンスがいい。どのエピソードも安定して楽しめた。

結局、ウルトラフレアや特異点の設定はよくわからなかった。両親の失踪に秘密らしい秘密もなく、ゴモラはスパークドールズの1つでしかなかった。やっぱり主人公の過去が、最終局面を突破する勝利の鍵になってほしかった。両親はウルトラフレアを予測し、エックスを地球に招いていたとか、サイバーゴモラの中にエックス復活のキーが入っていたとかね。
敵を理解することの大切さ、難しさも、ちゃんと描けたとは言いがたい。
いろいろ粗いが、このあたりをしっかり押さえたウルトラマンはかつて存在しないから、まぁ、無理もないか。

おおむね楽しめるウルトラマンだった。

ウルトラマン
1966 Q
1966 マン
1967 キャプテン
1967 セブン
1968 怪奇大作戦
1971 帰マン  
1972 A エース  
1973 タロウ
1974 レオ  
1979 ザ☆マン
1980 80  
1984 キッズ
1988 USA  
1990 G
1993 パワード  
1994 平成セブン
1995 ネオス
1996 ゼアス
1996 ティガ
1997 ダイナ
1998 ガイア
1999 ナイス
2001 コスモス
2004 ネクサス
2005 マックス  
2006 メビウス
2006 WoO
2007 SEVEN X
2007 大怪獣バトル
2009 ゼロ
2011 ゾーン
2013 ギンガ
2015 X エックス
2016 オーブ
2017 ジード  
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