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[レビュー2015年10月02日に発表された 

オデッセイ

The Martian

そうじゃない

火星にひとり取り残された宇宙飛行士のサバイバル。基地の床を畑にして、水を合成し、ジャガイモを植える。運用を終えた探査機を修理して、地球との意思疎通を確立。将来の脱出にそなえる・・・。少しずつ安全が確保され、できることが増えていくのは楽しい。科学的におかしな点があっても気にならない。

しかし主人公の回ミッションがクロースアップされると、興奮はしぼんでしまう。『アポロ13』(1995)のように、飛行士と管制官の信頼を描く話も好きだし、おもしろいが・・・本作は個人のサバイバルが主題(だと思っていた)から、受動的に見えてしまうのだ。

そして、中国資本の介入で一気に萎えた。アメリカが失敗した宇宙船打ち上げを、中国企業が助けるなんて、本筋に関係ない。監督もわかっているから、中国ロケットから物資を受け取るシーンもない。ほんとに無意味。
それでも中国を出さざるを得なかった。なぜか? 2015年のハリウッドがチャイナマネーに媚びたから。あーあ。SF映画の興奮は完全に失われ、ふたたび戻ることはなかった。

そもそも個人のサバイバルも掘り下げが浅い。ジャガイモだけで栄養バランスは大丈夫か? ストレスは我慢できてしまうのか? どのような設備があって、どんな物資が消費されていくのか? 地球からどんなアイデアをもらったのか? 食べ物さえあればOKって、どうなのよ。

個人的に期待していたラストは、こんな感じ。原題「The Martian」から、地球に帰るか、火星に残るかの選択はあると信じていた。

★妄想リメイク

無人ロケットで器材と物資を火星に送り込む。主人公は基地を拡張していく。やがて回収チームが送り込まれるが、失敗。生存者が合流して5人となる。やがて結婚し、子どもが産まれる。

12年後、ようやっと回収ロケットが送り込まれるが、主人公はその数日前に亡くなっていた。主人公の息子が、「地球へ行ってみたい」と言う。

終わってみれば、なんも残らない。「チャイナマネーの介入さえなければ傑作だった」とは思わないものの、もっとも印象に残ったことがチャイナマネーの脅威だった。あーあ。

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