レビュー  2016年06月08日  に発表された 

ライト/オフ
Lights Out

4ツ星

すさまじい切れ味

ホラー映画ファンなら見ておくべき映画。おそらくこれから、インスパイアされた作品が増えるだろうから。しかし新しい恐怖が描かれているわけじゃない。正体不明の「なにか」が、闇夜にまぎれて接近してくる。言ってしまえば、ただそれだけの映画。しかしそれだけで、81分の映画が作れることを証明してくれた。ついでに鑑賞後、モチーフとなった2分40秒の動画("Who's There Film Challenge 2013"出品作)を見ると、アイデアから映画を作るコツがつかめるかもしれない。

この映画(あるいは短編の長編映画化)でもっとも驚いたのは、登場人物が理知的なことだ。姉レベッカはまず怪物の実在を疑うが、経験すれば対策をほどこす。他人に話しても理解されないことをふまえ、証拠を集める。「なにか」の正体や目的はわからないが、母親やマーティンがいっしょに暮らせているのだから、自分たちがすぐ襲われることはないだろうと判断する。弟マーティンは、家を出ていったレベッカを信用しておらず、多くを期待せず、本当のことも話さない。また口約束を絶対的に拒否する。最善ではないが、無理のない行動が没入感を高める。

一方で、ドラマを動かすのは知性でなく愛情だった。愛情があればこそ危険を招くし、危険に立ち向かえる。制作者もそれがわかっているから、あえてレベッカと彼氏ブレッドをイマドキの若者として登場させている。わがままで、浮かれて、享楽的な若者からの変化は、うまい。
知性と愛情と勇気──。ホラー映画に不可欠な要素であろう。

あと細かいところでは、家族の助け合いが法律によって阻害される現実や、警官2名が惨殺されたことでレベッカたちの証言の信憑性が増すであろう期待感がいいね。ほんと、かゆいところに手が届く。

しかし不満もなくはない。まずダイアナに実体があるなら、ライトが点灯した瞬間に消えるなんて芸当はできないはずだ。実体がなければ反撃できない(反撃できると思えない)のはわかるが、結局、霊的な方法で撃退できたんだから、齟齬が生じている。まぁ、光を当てた瞬間に消えるということは、光より早く行動できるわけで、物理的な対抗策もなくなってしまうけどさ。

それから、ちょこちょこ状況がわかりにくい。家族は父親の死をどう思っていたのか? なにが原因でダイアナが帰ってきたのか? だれが、いつ、ダイアナを地下室に閉じ込めたのか? ソフィーとダイアナはどんな時間を過ごしていたのか? 意図的に説明を省いているんだろうけど、気になってしまった。妄想を加えて整理してみよう。

妄想リメイク

ソフィーには、物心ついたころから見えない友だちの「ダイアナ」がいた。やがてソフィーは精神病院に送られ、「ダイアナはいない」と諭され、ストレスが蓄積される。あるときダイアナが精神科医を惨殺。記録が失われたことと、ソフィーがダイアナを見なくなったことから、退院できた。

ソフィーはポールと結婚し、レベッカとマーティンを出産する。ところがポールの浮気でストレスが蓄積し、ふたたびダイアナが目覚めてしまう。ダイアナはポールを殺害し、死体をどこかに隠してしまった。ポールは浮気相手と失踪したことになり、意気消沈するソフィーを、ダイアナが慰める。
「ええ、ずっといっしょよ。でも子どもたちには手を出さないで。絶対よ」
マーティンは、母親の部屋になにかがいることを知って、おびえる。

ダイアナに逆らえないソフィーは、子どもたちとの共存を模索する。少しずつマーティンをダイアナに慣れさせようとするが、うまくいかない。不眠症になったマーティンは、姉レベッカをたよった。ダイアナにとって子どもはマーティンだけで、レベッカは対象外だから、脅して手を引かせようとする。しかしレベッカは問題と向き合うことを決意し、懐中電灯をもって実家にもどってきた。

ソフィーはレベッカを批判。部屋に閉じこもってしまう。レベッカはマーティンと寝室へ。彼氏のブレッドは居間で就寝した。夜、ダイアナは電線を切って、子どもたちを地下室に閉じ込める。ブレッドは逃げてしまった。レベッカは警察に通報するが、途中で電話を破壊される。
子どもたちは地下室で父親が残した資料を見つけた。父ポールはソフィーを心配し、精神科医に相談していたが、それを浮気と誤解されたのだ。ダイアナは存在せず、すべてはソフィーの無意識の念力が引き起こしていた。ポールは、ソフィーを殺すしかダイアナを止める方法はないと結論を出していた。母を殺すことはできない。

そこへ警察がやってきて、ダイアナと衝突。目覚めたソフィーは自分の頭を撃って、ダイアナを消滅させた。

「ブレッドと結婚するから、いっしょに暮らしましょう」
そう言うレベッカに、マーティンは怪訝な顔をする。

「ブレッドってだれ?」

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