レビュー  2017年04月12日  に発表された 

夏目友人帳 陸 (第6期-全11話)
Natsume's Book of Friends Roku

3ツ星

それは、マイノリティの憂鬱

アニメ『夏目友人帳』がはじまって9年──。小学1年生が中学校を卒業するほど時間が経った。いやはや、光陰矢のごとし。第一期を見たときは、友人帳というマジックアイテムを軸に、祖母レイコの遺志を継ぐ物語と思っていたが、ゆるーい学園妖怪ファンタジーだった。

ゆるーく見えないのは、「マイノリティの憂鬱」を描いているから。
夏目貴志は妖怪が見えてしまう。見ようとして見えるのではなく、見たくなくても見えてしまう。だから見えない人たち(マジョリティ)との暮らしに難儀する。一種の障害者だ。おまけに両親がいないから、「家」というものを知らずに育った。これはマイノリティの悲哀。一時は注目されるが、長く親しまれるテーマではない。

物語が進むにつれ、夏目は人間、妖怪、祓い屋に友だちを得た。夏目の障害を理解し、苦しみに寄り添ってくれる人間/妖怪/祓い屋がいる。マイノリティではあるが、幸せになった。自由になったことで夏目は、どう生きるか迷うようになった。レイコのように人間に背を向けるか、名取や的場のようにマイノリティの資質を活かすか、目を閉じてマジョリティの末席に加えてもらうか。マイノリティの憂鬱である。
本来、憂鬱とは満たされたものの贅沢であるから、マイノリティの憂鬱は稀有なプロットである。ふと、『少女革命ウテナ』(1997)を思い出した。美しく、賢く、強く、家柄もよい、恵まれた若者たちが、奇跡とか永遠とか革命とか、あやふやなものを求めて決闘する。これもマイノリティの憂鬱かもしれない。

まぁ、高校生だから進路に迷うのは仕方ない。しかし夏目は迷っている自覚が足りないし、時間制限もないから、果てしないモラトリアムに見えてしまう。これがちょっと引っかかる。
また第5期から夏目は、レイコは「幸せに気付こうとしなかった」と考えるようになった。幸せな、そして傲慢な考え方である。不幸せな人間にそんなことを言っても意味がない。幸せを手に入れてしまえば、とても簡単なことに思える。この格差も引っかかっている。

ゆるーい日々がつづくと思っていたが、第6期で変化があった。友人帳の存在がクロースアップされ、これまで無視されてきた夏目の祖父──すなわちレイコの夫が言及されはじめた。
レイコは、夏目が思うように不幸だったのか? 人間に背を向けていたのか? 妖怪だけが友だちだったのか?
このあたりの興味に、これから答えてくれるのだろうか? 第7期への期待がふくらむ。

  1. つきひぐい ... 夏目、子どもになって記憶も失う。 [感想] かわいい変身はあざとい。
  2. 明日咲く ... 夏目、修行する妖怪の一途さに感動する。 [感想] 人間より人間らしい妖怪たち。
  3. 二体さま ... 夏目、人形の妖怪に襲われ、撃退する。 [感想] 柴田、うぜぇ。田沼、こえぇ。
  4. 違える瞳 ... 夏目、名取と妖怪退治する。 [感想] 名取の不自然な登場。仕組まれた罠にしか見えねぇ。老婆でも殴り掛かる夏目がすてき。
  5. 縛られしもの ... 夏目、うまく事を収める。 [感想] 名取が夏目がもつもの(友人帳)に興味をもつ。
  6. 西村と北本 ... 同級生から見た夏目。 [感想] めちゃくちゃ不気味!
  7. ゴモチの恩人 ... レイコ、花嫁を奪い取る。 [感想] あまりにも漢らしい。
  8. いつかくる日 ... 夏目、妖怪と人間の恋愛を目撃する。 [感想] ごちそうさま。
  9. ながれゆくは ... 夏目、林間学校で妖怪と出会う。 [感想] 久々の怖い系。と思ったが、そうでもなかった。
  10. 閉ざされた部屋 ... 夏目、亡くなった祓い屋の書斎を探す。 [感想] 陰陽道と錬金術が混ざった世界観だ。
  11. 大切なモノ ... 夏目、友人帳の話をする。 [感想] 夏目の能力が飛び抜けている。この資質を失うのはマジョリティ(ふつうの人々)にとって損失だろう。「箱崎の書斎」と「友人帳」は同じものなのに、的場が異なる意見を述べるのはいいね。

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夏目友人帳 陸 (第6期-全11話)