アウトラスト2 / Outlast 2 (PC) Outlast 2

2017年 ゲーム 4ツ星 ★妄想リメイク カルト ホラー 狂気 痛い

ストーリーはダメ

大ヒットした『Outlast』の第2弾。主人公はジャーナリストのブレイクとなって、カルト集団に連れ去られた妻・リンを救出する。前作と同じく、主人公に戦闘能力はない。敵に見つかったら逃げて、隠れて、祈るだけ。敵との遭遇確率が上昇したから、しょっちゅう逃げることになる。真っ暗な場所が多いので、地形を覚えることは難しく、やみくもに走って、気がつくと助かっていた、というパターンを繰り返す。攻略サイトを見ても、とにかく暗いからスマートな突破は難しい。しかしそれゆえ、恐怖と緊張感が持続する。

暗視モードがないとプレイ不可能。ゆえにバッテリーが切れたら死亡確定だが、死ぬとバッテリーの所持数が戻るため、節約する意義は乏しい。まさにデスベホマ。プレイヤーは死んだことと、ズルしたことで、二重にストレスを受けてしまう。それから廃屋や路上にバッテリーが落ちているのも不自然。ぶっちゃけ、バッテリーの概念はもう要らないと思う。

前作より主人公がよくしゃべるが、「F**k」ばかりで情報としての価値はない。ポイントごとで撮影するビデオメッセージも、感傷的なポエムばかり。こいつ、ほんとうにジャーナリストか? 理解に苦しむ。
リンは妊娠しているのか? ジェシカは死んだのか? プレイヤーが気になるところはまったく教えてくれない。そのため、主人公に感情移入しづらく、どんなに傷ついても「他人」に思えてしまう。ホラーゲームでこの距離感はつらい。

ストーリーはべらぼう難解。対立するカルト集団(ヴァル派)は、立ち位置がよくわからないまま壊滅。ときおり挿入される幻想パートで、「ジェシカ=ヴァル説」や「学校の先生=クノース神父説」、「ジェシカは存在しない説」などを考えたが、そもそも過去と現在は関係なかった。もう、なんだかね。エンディングはひどく虚しかった。

私の理解
  1. マーコフ社の電波塔から照射される閃光を浴びると、性欲と凶暴性が増す。そのため村人はセックスを繰り返し、性病が蔓延した。マーコフ社はこの村で実験していたのだろうか? だとすればどうやって観察していたのか? クノース神父による混乱は、マーコフ社にとって望んだ展開だったのか? さっぱりわからない。
  2. クノース神父はカルト宗教を立ち上げ、村を掌握。梅毒に感染した村人を排除して、残った村人でセックス三昧。生まれた子どもは皆殺し。なんのため、なにをしてるのか、さっぱりわからない。
  3. クノース神父の弟子・ヴァルが裏切って、新派閥を立ち上げる。村人たちの抗争がはげしくなる。しかしヴァルの目的も、さっぱりわからない。
  4. 娘が外部に逃げたことで、ジャーナリストの注意をひく。
  5. ブレイクたちが乗ったヘリコプターが墜落。クノース神父はリンが妊娠していると妄想。その思いが周囲に感染し、リンは想像妊娠する。クノース神父は母子ともども殺そうとする。
  6. ヴァルがリンを横取りするが、なぜそんなことをしたのか、さっぱりわからない。
  7. クノース派とヴァル派は共倒れ。リンは想像妊娠と出産で死亡。ヴァルは消息不明。クノース神父は絶望して自殺。
  8. 主人公は世界の終わりの幻覚を見て、妄想に閉じこもる。

『アウトラスト2』は、1978年にあったカルト宗教の集団自殺事件(人民寺院)をモチーフにしているそうだが、類似点は少ない。そもそもクノース神父の教義が見えない。「子どもを産ませて殺す」なんて、短期間で繰り返せることじゃない。しかし長期間やれば、村の人口は激減する。というか、死体が多すぎませんか? これも幻覚なの? もう、なんに基づいて考察すればいいのやら。

ゲームは格段に怖くなったが、もうちょいストーリーを練り込んでほしかった。

妄想リメイク

カルト集団「人民教会」が南米に集団移住して、外界との接触を遮断した。表向きは平和主義の団体だったが、独裁、薬物、虐待、監禁などの噂が絶えなかったため、ブライアン下院議員が視察することとなった。主人公はカメラマンとして同行する。彼の幼馴染みであるジェシカのカルトに属しており、その消息も気になっていた。主人公はジェシカからの手紙を受け取っていた。「会いに来て」と。

日中、ブライアン議員が村を見て回る。人々は友好的で、変わったところはない。バッテリーを取りに戻った主人公は、子どもに誘導され、小屋に詰め込まれた信者たちを発見する。教祖は意に従わない村人を拷問したり、殺していたのだ。主人公は議員に報告するが、信じてもらえない。
そこに教祖があらわれ、いきなり発砲。視察団は壊滅した。

夜、主人公は死体置場で目覚める。子どもに注射された薬で仮死状態になっていたようだ。理性を残していた村人から事情を聞く。
教祖は独裁者で、この閉鎖環境で麻薬を造っていた。多くの村人が実験台となり、死んだり、怪物に変異した。視察団を殺したことで、明朝にはアメリカ軍がやってくる。教祖はすべてを焼き払い、村人たちと集団自決するつもりだ。ジェシカはこのカルト集団の司祭だったが、教祖と対立し、捕縛されている。主人公はジェシカと村人を救うべく、村に向かった。

主人公は複数の注射を打たれ、幻覚を見るようになる。冬の学校でジェシカを探す。そこで怪物を倒すと、現実世界の脅威も取り除かれる。幻覚を見てるとき、主人公は怪物になっている。つまり怪物となった村人たちも、幻覚を見ているのだ。
この異常事態の背後には、マーコフ社があった。教祖はマーコフ社に実験環境を提供し、その見返りとして村は秘匿されてきた。しかし教祖が暴走したため、マーコフ社は村を切り捨てた。ジェシカは、マーコフ社のエージェントであり、人体実験を主導していた。しかしジェシカ自身も薬に汚染され、主人公への思いを募らせていた。ジェシカは主人公といっしょに死のうとしている。

ジェシカと教祖が襲ってくるが、薬漬けになった主人公にはどちらも怪物に見える。どちらを倒すか、または逃げるかでマルチエンディング。

(おわり)



Steam: Outlast 2

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