オリエント急行殺人事件(ケネス・ブラナー主演) Murder on the Orient Express
2017年 外国映画 4ツ星 密室 探偵 推理 @アガサ・クリスティエンターテイメントに
映像がすごい。雑多な人種がごった返すイスタンブール、出発するオリエント急行、豪華絢爛な装飾、食器などの小道具、登場人物たちの衣装、荷物・・・。もちろん私は当時のオリエント急行を知らないが、本物だと唸る説得力だった。カメラワークもダイナミック。周辺の状況をシームレスに移すことで、登場人物が置かれた状況がわかりやすくなる。よく動くが、酔うことはない。洗練されている。
ストーリーは簡略化され、推理もいい加減。犯人たちの行動も不自然なところが目立つ。精確さよりテンポが優先され、アクションまで挿入して観客を飽きさせない。エンターテイメントに特化している。
ケネス・ブラナー演じるポワロは、見栄えはよい。デビッド・スーシェのポワロとうまく差別化されている。しかしキャラクターとしてみると、軽い。
エルサレムで華麗に事件を解決。金はたっぷりあるから、依頼人の顔で仕事を選べる。小説に笑いながら夜を過ごし、恋人の写真にキス。人生を楽しんでいる。そんな人物が、犯人たちを特別に赦す。なんだか気に入らない。
もちろんポワロに恋人がいてもいいし、ステッキでアクションをこなしてもいい。しかし「オリエント急行殺人事件」には合わないように思う。とはいえ、先行作品をなぞっても仕方ない。エンターテイメントに徹し、ポワロをヒーローとして描いたことは新しく、見ごたえもあった。これはこれで悪くない。
アガサ・クリスティ | |
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ポワロ | |
デビット・スーシェ (David Suchet) | |
ピーター・ユスティノフ (Peter Ustinov) | |
声:里見浩太朗
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ミス・マープル | |
マーガレット・ラザフォード | |
アンジェラ・ランズベリー | |
ヘレン・ヘイズ | |
ジョーン・ヒクソン | |
ジェラルディン・マクイーワン | |
ジュリア・マッケンジー | |
声:八千草薫
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ゆっくり文庫 | |
奥さまは名探偵 | |
ほか | |
検察側の証人 | |
そして誰もいなくなった | |
ほか |