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[レビュー2017年07月08日に発表された 

メアリと魔女の花

Mary and The Witch's Flower

ひどいもんだ

『借りぐらしのアリエッティ』も『思い出のマーニー』も駄目だったが、本作もやっぱりダメだった。開始30分経っても方向性が見えず、1時間経っても見えず、最後の30分はイベント消化だった。あえて視聴者を盛り上げない演出を心がけたようだ。
ジブリ映画で見たようなキャラクターやシーンが連続するが、どれもオリジナルに劣る。なにこれ? 「ジブリっぽいものを作れ」と強制されたのだろうか? しかし箒の動き、雲の流れを見ても、躍動感がない。なにもかもが劣っている。

メアリは不器用だが、そのことを恥じず、今日もだれかに迷惑をかけている。そんなメアリが、天才魔女と称賛される。しかしメアリは調子に乗らず、あっさり魔女の花を捨てる。そして接点の乏しい近所の少年を、迷うことなく助ける。命も平気で賭けちゃう。つまり底抜けに善良な少女が、底抜けに善良なことをした。それだけの話しだった。

魔女の花は「人間には制御できないもの」として描かれる。しかし学生が見つけてしまうような花に特別な力があれば、解析して、制御すべきだろう。魔法使いの禁忌にしては、スケールが小さすぎる。『カリオストロの城』の指輪、『風の谷のナウシカ』の秘石、『天空の城ラピュタ』の飛行石に比べると、その小ささがわかるだろう。
そんな禁忌に盲従するメアリは、魔女ではない。能力や才能ではなく、性格が魔女に向いてない。

一方、校長と学者も魔法使いらしくない。彼らは、そのへんの学校や会社にいる小物──つまらない大人でしかない。彼らが没頭した変身魔法の研究は、非人道的なものと描かれるが、ただの動物実験である。しかも動物は傷つけられたり、殺されたわけじゃない。これで動物実験を全否定するのは無理がある。
しかしシャーロットは我慢できず、魔女の花を盗んで別世界に逃げた。自分の家族や国を捨てるような危機だろうか? 現実世界に置き換えると、薬の開発で動物実験があることに憤慨した研修生が、開発資料を持って外国に逃げてしまったようなもの。うーん、さっぱり共感できない。

米山監督はこの映画で、なにを表現したかったのか?
メアリは事件を通じて、どんな成長があったのか?

監督に表現したいものがないなら、今後なにを作っても駄目だろう。

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