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[創作] 2006年06月23日(金)に書いた夢日記

第06夜:親父が見た夢

第06夜:親父が見た夢

 昔、親父からこんな話を聞いた。

 ある日、親父は地方に出張していた。取引先との打ち合わせが終わり、同僚と旅館に泊まることになった。そこで親父は、夢を見た。

 夢の中で親父は、露天風呂につかっていた。
 すると、野生のクマが湯船に入ってきた。びっくりした親父は、みかんを投げて追い払おうとしたが、クマはいっこうに出て行かない。むしろ、ずいずい近寄ってくる。

 危険を感じた親父は、すっぽんぽんのまま逃げ出した。
 するとクマも湯船からあがって、ついてくる。親父はみかんを投げつける。クマはそれをよけて、ずんずん追ってくる。

(せっかくの温泉だったのに……)

 遠ざかっていく温泉がすごく未練だった。

 目が覚めると朝だった。となりで寝ていたはずの同僚が、テラスに座っている。

 よく見ると、灰皿が煙草でいっぱいだ。
「寝言がうるさくて、寝てられなかったよ」と、同僚は言う。
「そりゃ、申し訳ないな」と親父は謝った。
 近年まれに見る大スペクタルの夢だった。さぞや騒がしかったと思う。

「で、おれはなんて言っていた?」
「ジャンケンぽーん! ジャンケンぽーん! て言ってましたよ」

(……ぜんぜん夢と関係ないジャン……)

と、親父は思ったそうな。

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