創作  2006年10月21日(土)に書いた 夢日記

第09夜:明晰夢の悪夢

第09夜:明晰夢の悪夢

 「これは夢だ」と自覚する夢を、明晰夢と呼ぶ。

明晰夢(メイセキむ:Lucid Dream)または自覚夢、覚醒夢
  • 明晰夢の内容は、みている本人がある程度コントロールできる。
  • 自分が思い描くことを体験したり、悪夢を回避できる。
  • 明晰夢は特殊な才能ではなく、訓練次第で誰でもみることができる。
  • 現在、明晰夢を活用した心的療法が研究されている。
参考)明晰夢 - Wikipedia

 高校のころ、なにかの本で「明晰夢」のことを読んだ私は、さっそく訓練をはじめた。訓練とは、夢の内容を記録するというものだった。枕元にノートを置いて就寝し、目が覚めたら夢を書き出していく。
夢日記のストックが増えていくと、夢の内容が変質してきた。
 ──そしてある日、私はついに覚醒した。

 夕暮れ刻、私は友人と坂道を歩いていた。
 ふと、ここがどこなのか気になった。なぜ気になるのか?

 ここがどこかわからないと、起きたときに夢日記を書けないから!

 それで夢だとわかった。
 気がつくと、友人はいなくなっていた。ま、夢とわかった以上、話す必要もない。私は思う存分、夢を楽しむことにした。

 多くの人がそうであるように、私は空を飛んでみた。ふわりと宙に浮く感覚は、自分自身の想像の産物とはいえ、なかなかリアルだった。逆さまに飛んでいると、頭に血がのぼってくるのでつらかった。
 あれこれ遊んでいると、また日が暮れてきた。

(そう言えば私は、どこで寝てたっけ? どんな格好で、何時間くらい寝てるんだろう?)

 ぞくり、と不安な気持ちになった。奇妙なことに、私は現実を自覚できなくなっていた。

(む、む、どうすれば夢から覚めるんだ?)

 どっと汗が噴き出す。もしかすると私は、とてもヤバイ状況で寝ているかもしれない。夢の中では無敵でも、現実の私は無防備だ。早く目を覚まさなくっちゃ。でも、どうやって?

「起きろ! 起きろ! 起きろ!」

 私は一生懸命、頭をふった。

 ぼふっと枕の中に頭が突っ込み、私は現実に帰還した!
 ……ような気がした。
 もちろん、そんなことはない。私はずっと、この布団で寝ていた。頭を振って目が覚めたわけじゃない。あれは夢の中の出来事だ。

 しかし私は、びっしょり汗をかいていた。

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