創作  2006年12月20日(水)に書いた 夢日記

第10夜:宴の終わり

第10夜:宴の終わり

「さて、そろそろ帰りましょうか」

 彼女はそう言って、席を立つ。そうだねと返事をして、私も店を出た。

 てくてく歩く。
 これといった話題も思いつかないので、無言のまま歩く。もうすぐ駅だ。駅に着いたらオワカレ。宴(うたげ)が終わる。

(もう少し話をしたいけど、このへんが引き際かもしれない......)

 宴はいつも、終わり方が難しい。
 おしゃべりな私は、ついつい話を引き延ばすクセがある。相手はもう帰りたがっているのに、それに気づかず、えんえん話しつづける。優しい人ほど調子を合わせてくれるので、なお気づかない。
 で、相手と別れたあとで我に返り、空気が読めない自分を呪うことになる。

(でも、もしかして……?)

 ごくまれに、相手も同じように思っている場合があるらしい。「もう少し話をしよう」と、私から声をかけられるのを待っている。しかし、そのサインに気づくのは難しい。

「それじゃ、ここで。今日はありがとう。楽しかった♪」
 そう言って、彼女は去っていった。

 結局、私は切り出せなかった。

 これでよかったのか、声をかけるべきだったのか?

 悶々と考え込みながら、私は自宅に向かう路線に向かった。そのとき背後から、大きな爆発音が轟いた。列車事故だった。

 人が多すぎて、現場がよく見えない。それに周囲の様子もおかしい。悲鳴や怒号に混じって、笑い声も聞こえてくる。いったいなにを見たら、あんな風に笑えるのだろう? わけがわからない。
 混乱する頭の中で、彼女のことが気になった。
(あれ? 彼女が乗った電車は……もう出発した?)
 確かめようにも、人の流れが激しくて近づけない。押し戻される。こりゃ、家に帰ってニュースを見た方が早いかもしれん。

 そんな馬鹿な!
 ここが事故現場なのに、どうして家でニュースを見るんだ?

 いや、ちがう。
 事実は(もし最悪の事実だったら)、家で(ニュースとして)みる方がいい。

 なんだそりゃ?
 それって、どういう意味で笑ってんの?

 なんか、まちがってる?

 という夢をみた。
 事故現場にいるのに、緊張感がないのが怖かった。

 彼女は無事だっただろうか?

コメント (Facebook)

思考回廊 創作
第10夜:宴の終わり