第14夜:セカンドナース
2007年 夢日記気がつくと、オンナになっていた。
身体が軽くて、柔らかい! ウエストが細いぃ! ちゃんと内蔵が入っているのか心配になる。すらりと伸びた両足も、美少女フィギュアのように美しい。髪はさらさらロングヘア。鏡はないけど、そーとーな美女にちがいない。
ピンク色のナース服を着ている。
(しかしこれは……ほんとにナース服か?)
スカート丈は短いし、両肩がふくらんで腰のくびれが強調されている。ヘンテコなナース服だ。よくよく考えてみれば、ナースが髪を下ろしているわけがない。
つまり私はナースじゃなくて、ナースのコスプレをしているんだな。
◎
それにここは……病院じゃない。やたらと広い事務所だ。吹き抜けの天井も、壁も、床も真っ白だ。デスクも、パソコンも、電話機まで白い。
なにもかもが白いから、ナースたちのピンクが映える。階段をおりるナース、棚を整理するナース、タイピングするナース、電話対応するナース……。たくさんのナースが働いている。
私も自分のデスクに座る。体重が軽いせいか、座った感じがしない。前を向くと、デスクに座ったナースが大量に並んでいた。気が遠くなりそうだ。
とにかく仕事を片付けようとして……ふと気がついた。
(仕事なんてしてる場合じゃないぞ!)
でも、なにをしたらいい? とりあえずトイレで鏡を見たい。しかし確かめるまでもなく、ここは美女ばっかりだ。どっちを向いても美女ナース。これじゃ、ありがたみもない。せっかくだからチヤホヤされたいけど、ここじゃ無理だろうな。
あれこれ妄想していると、指が勝手にキーボードを叩いていた。
(な、なんで仕事をしているんだ?)
一定時間入力がないと、自動的に仕事をしてしまうらしい。ゲームでコントローラーを放置しておくと、キャラクターが姿勢を崩したりするのと同じだ。
(ということは、ほかのナースも実際には考え事をしているのかな?)
ナースの「中の人」というべきか? ここは美女ばかりだが、「中の人」を想像すると、あまり愉快ではなかった。
また一定時間が経ったので、身体が動きはじめた。書類をもって、どっかに届けようとしている。すっきり背筋を伸ばしたまま、ひょいひょい階段を登っていく。どこへ行くんだろう? 他人の視界をモニターしているようだ。この自動運転はらくちんだった。魂がよそ見していてもテキトーに働くってのは、現代社会ではよくあることだ。
しばらく身体は放っておいて、考え事をつづけよう。
◎
気がつくと、私は電車の中で居眠りしていた。
くびれたウエストはどこへやら、私は36歳の太ったハゲに戻っていた。
- 想定される元ネタ
- 『セカンドライフ』のアカウント作成
- 『サイレン』の視界ジャック
- 『SILENT HILLの』バブルヘッドナース
- 『マトリックス』のZION ゲート
- 『探偵事務所5"』の事務所
- 『エヴァンゲリオン』アスカの腰のくびれ