第34夜:7手先を読め

2010年 夢日記
第34夜:7手先を読め

 居酒屋を出たところで、日本刀をもった甲冑男に襲撃された。

 西洋のプレートメイルを着てるのに、なぜ武器が日本刀なのか? なぜ目が真っ赤に光っているのか? よくわからないけど、とにかく拳銃をぶっ放した。
 パンッ、キーンッ!
 火花が散って、銃弾を切り落とされた。そんな馬鹿な!?
 2発、3発と連射するが、すべて空中で真っ二つ。どうやって?

「見てから反応しているわけではない」
「は?」
 甲冑男が説明してくれた。
「予知するのだ。銃弾の軌道に、あらかじめ刃を置いておく」
「ふざけんな!」
 不意をついて発砲するが、やはり切り落とされた。
 どこに撃っても駄目。まるで弾丸が刃に吸い込まれていくようだ。

「方法は3つ!
 1.刃を寝かせる"受け"。
 2.刃を立てる"斬り"。
 3.刃面を滑らせる"逸らし"。
 刃が傷つけないよう、なるべく逸らす」
 なるほど、弾丸がはじかれていく。斬るのも逸らすのも自由自在なのか。

 想像してみよう。
 直線に飛来する弾丸。曲線で迎え撃つ刃。空中の一点でぶつかって、軌道が逸れる。角度が深ければ刃が傷つき、浅ければ軌道を変えられない。弾いた弾丸が自分に当たらぬよう、手の甲側──刀身の右だけ使う。なんという技術だ。

「よし、今度はおまえがやってみろ!」
 差し出された日本刀を受け取ると、今度は甲冑男が拳銃をぶっ放してきた。あわてて刃面を立てる。ギーン!

「"受け"るな。次の動作が遅れるぞ」
 甲冑男が発砲する。キーン! 今度は斬った。かろうじて。
「"斬り"は2発以上に対処できない。逸らせ」
 パパンと連射。間隔が狭いから受けられない。1発目は刀身で逸らしつつ、2発目は切っ先で斬った。ひと振りで2発かわせたのは、そうなるように撃ってもらえたせいだ。
 口を開こうとすると、甲冑男がさらに連射。
 パン、パン、パン、パン! だんだんタイミングと角度が厳しくなる。

「よし、ピッチを上げるぞ!」
 甲冑男は二丁拳銃になった。パパパパパパパン! うおっ、速い!
「無駄な振りをするな。当たらない弾は無視しろ!」

 迎撃すべき点が見える。点と点とを最小の振りで結んでいく。点を漏らすと、弾丸が自分の身体に当たってしまう。刃圏の遠くで迎撃したいが、弾丸が多すぎて、手元に寄ってしまう。やばい。このままでは捌ききれない。かする程度の軌道はあきらめるか。身体のどこだったら、当たってもいい?

「逸らした弾丸を次の弾丸にぶつけて、効率化しろ」
「返しで身をよじれば、かする軌道はよけられる」
「7手先まで読めば、反撃できるはずだ」

 もう無理だと思っても、それまでにレベルアップできれば対処できる。しかしレベルアップより、難易度の方が先に上がっている。7手先まで読むと、どうにもならない領域に入ってしまいそうな……。ジ、ジリ貧だ。

 という夢を見た。
 何回か攻守交代した気もするが、よく覚えていない。あの甲冑男はなんだったのか?

 ジェダイの騎士を見たせいだろうか。