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[創作] 2011年04月16日(土)に書いた妄想リメイク

[妄想] TAJOMARU

[妄想] TAJOMARU

藪の中の真相を、入れ替わりトリックで解釈する。

まえがき

 『TAJOMARU』は2009年に公開された日本映画。芥川龍之介の『藪の中』が原作と聞き、『羅生門』のようなサスペンスを期待した。前半はよかったが、後半は荒唐無稽なファンタジーアクションになってしまう。地獄谷のシーンなんか馬鹿馬鹿しくて見てられないよ。つまるところ本作は、強くて、誠実で、かっこいい小栗旬を描きたかっただけのようだ。がっかり。
 しかし人物の入れ替えトリックはおもしろかった。そこで自分が考える理想の展開をシノプシスとして書き出してみた。


第0幕:白州

「これより詮議いたす。真実のみを語るように...」

  • 室町時代の末期、戦乱の世が近づいていた。
  • 畠山家に盗賊・多襄丸が押し入って、亜子姫を奪おうとした。
  • 多襄丸一味は捕縛されたが、亜子姫がおかしなことを言い出した。
  • 「私は多襄丸を愛しています。夫は直光ではありません!」
  • たまたま所司代が居合わせたので、白州で取り調べることになった。
  • 関係者がひとりずつ証言する。最初の証言者は畠山家の家老。

第1幕:忠実なる家老の証言

「20年前は世も平安で、畠山家も豊かでした...」

  • 幼きころの長男(信綱)、次男(直光)、阿古姫は仲良しだった。
  • 信綱は勇ましく、直光は優しく、阿古姫はミステリアス。
  • 直光は亜子姫に求愛するが、亜子姫は思わせぶりな態度でからかう。
  • ある日、盗人の子どもが捕らえられるが、直光の温情によって家来となる。
  • 家来となった桜丸は、生涯の忠誠を誓う。

第2幕:阿古姫つき侍女の証言

TAJOMARU

「3年前、先代当主がお亡くなり、将軍がお見えになったのです...」

  • 将軍足利義政は、畠山家を管領職に据える条件として、信綱と阿古姫の結婚を命じる。
  • お家のため、兄に亜子姫をゆずらなければならない直光。
  • 一方、直光の人望を恐れていた信綱は、阿古姫を力ずくで自分のものにしようとする。
  • 桜丸の知らせで、直光が現場に駆けつける。
  • 直光は信綱を斬りつけ、阿古姫を奪って逃走する。

第3幕:新多襄丸(直光)の証言

TAJOMARU

「おれは多襄丸。だが以前は畠山直光と呼ばれていた...」

  • 直光と阿古姫は山越えをしていた。行くあてはない。
  • 阿古姫がずっと黙っているので、直光は不安になる。
  • (一時は兄にゆずろうとしたことを怒っているのか?)
  • (家を失った自分を、愛してくれるだろうか?)
  • そこへ多襄丸が出現。不意をつかれた直光はあえなく気絶する。
  • 目が覚めると、阿古姫は多襄丸に寄り添っている。
  • 亜子姫「亜子は盗賊の妻になります。あの男は殺してください!」
  • 多襄丸「殺すのもあわれ。縄を解くから、どこへねりと立ち去れぃ!」
  • 直光は逆上し、多襄丸と取っ組み合いになる。
  • そのすきに阿古姫が逃げる。
  • 直光は多襄丸を刺し殺す。多襄丸は、自分の名を継げと言い残す。

第4章:盗賊一味の証言

TAJOMARU

「親方の帰りを待っていたら、見知らぬ若者が現れた...」

  • 山賊グループと遭遇した直光は、多襄丸を名乗る。
  • 彼らは旧多襄丸の一味だが、旧多襄丸を嫌っており、直光を新多襄丸と認める。
  • 山賊として暮らしはじめる。
  • 「畠山家は多襄丸一味を恐れているから、手を出してこないさ」
  • 盗んだ金を村人に分配することで、協力関係を築く。
  • ある日、畠山家の横暴を知る。
  • 人々に怨まれているのは信綱ではなく、直光だった。
  • しかもその妻は、自分を捨て、死んだと思われた亜子姫。
  • 新多襄丸は畠山家に向かう。

第5章:亜子姫の証言

TAJOMARU

「私は直光さまを愛しておりました...」

  • 3年前、亜子姫は信綱に手籠めにされる(結果まで映す)。
  • 「これでおまえは、おれのものだ。直光には嫁げまい!」
  • 絶望する亜子姫。そのまま直光と逃げることになったが、直光の負担になりたくない。
  • そこへ旧多襄丸が出現。直光は気絶する。
  • 旧多襄丸に襲われた亜子姫は、短刀で喉を突こうとするが、旧多襄丸に止められる。
  • 話し込む2人。やがて、芝居を打って直光を落ち延びさせることになる。
  • 直光が目覚める。
  • 拒絶、絶望、逆上、乱闘。
  • ところが乱闘になったので、逃げ出した。直光は死んだだろう。
  • 山中をさまよっていると、桜丸に拾われる。
  • ところが桜丸は、家来に「直光さま」と呼ばれていた。

第6章:新直光(桜丸)の証言

「盗人は、いつまでも盗人のようです...」

  • 20年前から桜丸は、直光を憎んでいた。そして畠山家を乗っ取るつもりだった。
  • 3年前、桜丸は(直光に斬りつけられた)信綱にとどめを刺し、直光が殺したと家来に伝える。
  • 動揺する家来たちに、このままだとお家断絶になるから、芝居に協力せよと持ちかける。
  • 信綱は病死と発表。奪還した亜子姫を娶り、管領職を継ぐ。
  • その後、桜丸は暴君となって、民衆を虐げた。
  • 新多襄丸と亜子姫が通じていたので、これを捕縛する。
  • そこへ所司代がやってきて、詮議されることになった。

第7章:将軍の証言

TAJOMARU

「血筋など、どうでもよい...」

  • 所司代が桜丸を捕縛しようとするが、将軍によって止められる。
  • 所司代は事情を説明するが、将軍は興味を示さない。
  • 将軍は新直光(桜丸)の正体を知った上で、その有能さを評価していた。
  • 将軍の威光を借りる新直光(桜丸)には、誰も手が出せない。
  • 新多襄丸(直光)と亜子姫は牢屋へ。互いを疑っていたことを詫びる。
  • 新直光(桜丸)は将軍に、亜子姫の助命を嘆願する。しかし将軍は認めない。
  • 処刑を延ばして、亜子姫の気が変わるのを待つという桜丸。

第8章:所司代の証言

TAJOMARU

「思えば、奇妙な事件でございました...」

  • 1年後、牢屋に所司代がやってきて、新多襄丸(直光)と亜子姫を解放する。
  • 将軍が急逝したことで、勢力図が激変。新直光は謀反人として処刑された。
  • 新直光(桜丸)は権力を手に入れたが、命を失ってしまった。
  • 新多襄丸(直光)と亜子姫は野に逃れ、自由に生きた。

終章:旧多襄丸の証言

「欲しいものは力尽くで手に入れろ...」

  • 20年前、旧多襄丸は息子(桜丸)を畠山家に送り込む。
  • 家臣に召し抱えられたのを見て、ほくそ笑む。

《おわり》


 というストーリーだったらよかったのに。
 しかしこのとおりに作ると、小栗旬は運命に翻弄されるだけで、あまりかっこよくないかもしれない。この映画は文学ではなく、小栗旬の映画だったのだろう。

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