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[創作] 2011年04月18日(月)に書いた妄想リメイク

[妄想] アイランド

[妄想] アイランド

クローンの共感が双方向だったら...

まえがき

 『アイランド』(The Island)は、2005年のSFアクション映画。状況設定に興奮したが、後半はよくあるアクション映画になってしまった。医療倫理への踏み込みも浅く、悪い奴らをやっつけて、美女とチューして終わりとは。なんでハリウッドはいつもこうなんだ?
 そこで、私が期待をシノプシスとして書き出してみた。前半はほぼ同じで、後半が異なっている。映画を見た人ならシーンが思い浮かぶかもしれない。


1. 当選を待つ日々

ノア|イントロダクション

 リンカーン・6・エコーは毎晩のように悪夢にうなされていた。海でクルーザーが沈む夢なのだが、リンカーンは海もクルーザーも見たことがない。なぜこんな夢を見るのか?
 いつものベッドで目覚め、いつもの日常がはじまる。スクリーンに健康アドバイスが表示され、管理された食事をとって、適切な治療を受ける。ここは地下の医療施設、《ノア》。楽園の一歩手前だ。
 20世紀のはじめ、地表は放射能で汚染されてしまった。救助された人々は《ノア》に集められ、適切な治療を受けている。安全で快適だが、退屈な日々。彼らの夢は、抽選に当たって地上最後の楽園、《アイランド》へ行くことだった。

ノア|ジョーダンへの想い

 リンカーンはいつものようにジョーダンに声をかけ、いつものように警備に注意される。
「なにしてるんだ?」
見ての通り、口説こうとして失敗したところさ
「《ノア》は男女の接触を禁じている」
「わかってるよ」
 思うように会話できないが、それでもジョーダンは微笑んでくれる。気持ちは伝わっている。いつか彼女と《アイランド》へ行きたい

THE ISLAND
(c)WarnerBros./Photofest/MediaVastJapan

ノア|楽園の真実

 ある日、リンカーンは自室で蛾を発見する。外界は放射能で汚染されているはずなのに? 疑問を抱いたリンカーンは施設を探索し、恐るべき事実を目撃する。ノアの住人は、保険契約を結んだクライアントに臓器提供するために生産されたクローンであり、アイランド行きは臓器摘出の死刑宣告だったのだ。
 そして、次の当選者に決まったのはジョーダンだった。リンカーンはジョーダンを説得し、《ノア》から逃げ出した。

THE ISLAND
(c)WarnerBros./Photofest/MediaVastJapan

2. 逃避行

地上|戸惑い

 地上に脱したリンカーンとジョーダン。外界は汚染されておらず、たくさんの人が生活していた。戸惑う2人。身分証明がないため、警察にも追われる。
「こんなことなら、《アイランド》を夢見ていた方がしあわせだった」
 絶望するジョーダン。一方、リンカーンは精気に満ちあふれていた。
「こんなことを言ったら怒るかもしれないが。ぼくはいま、命を実感している。神経が研ぎ澄まされ、力が湧いてくるようだ。愛する人を守るためなら、なんだってできる!」

社長室|倫理問題

 企業《ノア》の社長室に、特殊部隊の隊長が呼び出された。リンカーンとジョーダンの捕獲が命じられるが、施設やクローンの存在を知られてはならない。
「クローン?」
 事情を知らない隊長のため、社長が《ノア》の仕組みを説明する。クローンは、アグネイトという物質から製造される。クローンの製造は禁止されているが、アグネイトの培養なら問題ない。
「実際はクローンと同じものですよね?」
「いや、オリジナルと同じものだ。記憶以外はね」
「世間に知られたら禁止される?」
「馬鹿な話だ。人間を複製できるアグネイトの価値は計り知れない。なのに誰も理解しようとしない。毎日ブタを食べるのに、ブタが殺されるのはかわいそうと言う。人間とはそういうものだ。だから伏せておく。知らなければ、悩まずに恩恵を受けられる」
「一部の金持ちが?」
 隊長が突っかかる。
「まぁ、今はそうだね。しかし技術が進歩すれば、より多くの人に快適な人生を提供できるだろう。そのためにも、きみの働きが必要なのだ」
「了解しました」
 敬礼して、隊長が退室する。胸のペンダントに、娘の顔写真が入っていた。
「こんな技術があるなら、娘は死なずに済んだのに」

都市|命の選択

 道を行き交う人が「あのジョーダン?」と振り返る。ジョーダンのポスターがあった。オリジナルのジョーダンは有名な女優だった。ニュースによると、オリジナルは交通事故に遭ったようだ。軽傷と伝えられているが、臓器移植用のコピーが呼び出されたところを見ると、危篤状態なのだろう。
 オリジナルの家に電話すると、娘が出た。シングルマザーなのだ。娘は、病院にいるはずの母が電話してきたことに驚く。ジョーだんっは感極まって、崩れ落ちる。
「私が臓器を提供すれば、オリジナルが助かるのね?」
「駄目だ。きみが死んでしまう」
自分が生きるために、自分を殺すの? 私にそんな価値がある? 私はそのために作られたんでしょう?」
「あるさ! きみはきみ、彼女は彼女。誰かの犠牲になるなんて馬鹿げてる」

都市|逃避行

 警察の連絡を受けて、隊長が現地に到着する。リンカーンとジョーダンを追い詰めるが、事情を知らない警察と衝突してしまう。その隙を突いて2人が逃げる。
 社長はもみ消せるから、邪魔な警官は殺せと命令する。やむなく警官を撃ち殺すが、隊長は悩む。
「こいつにも、《ノア》の恵みはないんだな」
 特殊部隊は2人を見失ってしまった。

THE ISLAND
(c)WarnerBros./Photofest/MediaVastJapan

3. オリジナルとクローン

都市|記憶の共鳴

 リンカーンは都市を駆け抜け、乗り物も操縦した。不審に思った隊長が社長に報告する。
「クローンに記憶も転写されているのでは?」
「ありえない。する意味がない。だがもし事実なら、アグネイトが共鳴したことに......」
「貴重なサンプルですか?」
「たしかに......いや、駄目だ。クローンの存在を知られるわけにはいかない。必ず殺せ」
「了解しました」
「次はどうする?」
「リンカーンの家に行ってみます。クローンが立ち寄るかもしれません」

オリジナルの家|もう1つのストーリー

 オリジナルのリンカーンが帰宅すると、部屋に不審者がいた。リンカーンとジョーダンだった。
「なぜ? セキュリティは遺伝子認証なのに?」
「ぼくには通じない。ぼくもリンカーンだから」
 事情を説明すると、オリジナルは2人を匿うと言い出した。実際、隊長が訪ねてきても追い返してくれた。
「ぼくには関係ないね。今度はぼくのストーリーを聞いてもらおうか」
 オリジナルは大富豪の子息だった。自分で作ったものがほしくてデザイナーになって、成功もしたが、人生に飽きていた。《ノア》の保険は、なかば家族に強制されたものだった。
「ぼくはガンだ。長くは生きられない」
 オリジナルは臓器移植を拒否していた。長生きに執着しないと言う。
「顔は同じなのに、性格はちがうのね」
 ジョーダンは戸惑うが、疲れがピークに達し、寝てしまった。リンカーンも警戒しながら眠った。

オリジナルの家|同一性

 深夜、ジョーダンが目覚める。オリジナルはテラスで酒を飲んでいた。ジョーダンが出てきたので、あわてて部屋にもどる。
「きみは有名人なんだぜ。脱走したクローンって意味だけじゃなく、大女優なんだから」
 自室に案内される。そこにはジョーダンのポスターが貼られていた。
「ぼくはきみのファンなんだ」
「私のオリジナルの、でしょ?」
 オリジナルは肩をすくめる。
「まさか自分のクローンが、知らないところでジョーダンと恋仲だったとは。光栄に思うべきか、嫉妬すべきか?」
「恋仲ってほどじゃ。《ノア》ではあまり会話できなかったし」
「本当に? それじゃ、ぼくにもチャンスはあるかな?」
 しかしジョーダンは距離をとる。
「あなたは、彼じゃない」
 するとオリジナルはスケッチブックを取り出した。そこに描かれていたのは、《ノア》施設だった。オリジナルは知らないはずだ。
共鳴は双方向らしいな
 ぼくとあいつは、思うほどちがわない。
 それとも余命わずかな人間は愛せないか?」
 ふたたび迫られ、唇を許してしまうジョーダン。
「や、やめて。頭がおかしくなる!」
 突き飛ばされるオリジナル。そこへクローンがやってくる。
「なにしてるんだ?」
見ての通り、口説こうとして失敗したところさ

オリジナルの家|共食い

 夕方、リンカーンの別荘に移動することになった。車庫に出たところで特殊部隊に襲撃される。オリジナルは潔白だと言うが、クローンは疑っている。そしてクローンの策略で、オリジナルが殺される。ジョーダンがヘリコプターで回収された。
「きちんと説明してくれるんだろうね。ぼくは顧客だよ」
 リンカーンが隊長に詰め寄る。隊長が社長に判断を求める。さすがに大富豪を暗殺することはできないので、《ノア》に招待することになった。
 そのとき、隊長はなにかに気づいたようだった。

THE ISLAND
(c)WarnerBros./Photofest/MediaVastJapan

4. 救出

ノア|魂の継承

 《ノア》に輸送されてきたジョーダン。しかしオリジナル・ジョーダンの容体が急変し、移植どころではなくなる。クローンが手術室に乱入すると、チューブにつながれたオリジナルがいた。
 目と目があって、クローンがオリジナルの手を取ると、ショックが走った。とたん、オリジナルが息を引き取った。言葉は交わさなかったが、なにかが伝わったようだ。クローンが涙を流す。

THE ISLAND
(c)WarnerBros./Photofest/MediaVastJapan

社長室|提案

 社長室で説明を聞いていたリンカーン。そこへオリジナル・ジョーダン死亡の知らせが入る。リンカーンは、クローンとのすり替えを提案する。
「ぼくなら彼女を説得できる。ジョーダンは手術で一命を取り留めるが、思うところあって引退する。そのあとで彼女がなにを言っても、世間は相手にしないさ。ぼくが監視する」
「しかし......」
「まぁ、本音を言えば、ぼくは彼女のファンでね。これを機にいっしょにいたいのさ」
「......」
「今は、あんたらの失敗を隠す方が先決じゃないか?」
 社長は気になって、5年前の大リーグの勝敗を質問する。クローンなら知らないはずだが、リンカーンはすらすら答えた。社長は提案を受け入れた。

ノア|脱出

 監禁されていたジョーダンを、リンカーンが説得する。
「ぼくだよ。クローンだ。ここを脱出するため、オリジナルをふりをしてほしい」
「わかったわ」
 堂々と施設を出て行こうとする2人を、隊長が呼び止める。クローンを殺してしまって申し訳ないと言うが、リンカーンは気にしてないと答える。
「よいのですか?」
「なにが?」
「たしか、ガンを患っていると......」
「え? あぁ、そうだね。しかしそれはきみ、新しいクローンを作ってくれるんだろう?」
「もちろんです」
 2人が出て行った。

社長室|後始末

「どうだった?」と社長。
「わかりません。同一人物ですから」と隊長。
 社長はリンカーンがクローンではないかと疑っていた。
「まぁ、いい。しばらく監視して、落ち着いたら殺そう。オリジナルにせよ、クローンにせよ、生きていてもらっては不安が残る。憂いは断っておいた方がいい」
「そうですね」
 いきなり隊長が社長を撃ち殺した。その場で連絡する。
「はい。いま始末しました。死体は片付けますが、よろしいのですか?」
 電話の向こうで、資本家が答える。
「問題ない。代わりは用意してある」
 社長のクローンが立っていた。

6. エピローグ

アイランドへ

 半年後、海にクルーザーが浮かんでいた。夢と同じ光景だが、娘がいるところが異なる。娘はジョーダンを母親と信じている
「またその記事を読んでるの?」
 リンカーンは、ジョーダンの電撃引退の記事を読んでいた。冷たい飲み物をもってきたジョーダンの腕を引き寄せ、口づけする。
「幸せかい?」
「えぇ」
「《ノア》に残してきた仲間たちは気にならないか?」
「気になるけど、なにもできないわ。いまは娘もいるし......」
「そうだね。妙なことをしなければ、彼らはなにもしない。手は打ってある」
「そうなの?」
「やれることはやった」
「えぇ」
「もう、思い残すことはない」
「?」
 ジョーダンの表情が凍り付く。
「ぼくはオリジナルだよ」
「え?」
「死んだ方がクローン。あのときは、ああするしかなかった」
「そ、そんな! だって......」
「わかるだろ? ぼくはいま、命を実感している
 同じセリフをクローンが言っていた。
 オリジナルは、共感は双方向だと言っていた。
 ジョーダンは、オリジナルの自分に触れたとき、ショックがあった。
 リンカーンも、オリジナルと接触していた。
「それともきみは、クローンの臓器で生きながらえた方がいいと思うかい?」
 返答に窮するジョーダン。背後で娘が呼んでいる。「ママー、ママー」「ちょっと、待って」
 リンカーンが寝てしまった。
「リンカーン? リンカーン?」
 画面が暗転する。
「ママー、島(アイランド)だよ-」

《おわり》


あとがき

 とまぁ、こんな展開を期待していた。派手なチェイスシーンを省けば、尺におさまるだろう。
 劇中、クローンはオリジナルを間接的に殺している。つまり自分が生きるためには自分を犠牲にしてもよいと考えているわけで、それならオリジナルもそう考えるだろう。

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