創作  2013年05月05日(日)に書いた 妄想リメイク

[妄想] ゆりかごを揺らす手

[妄想] ゆりかごを揺らす手

美しき侵略者が奪ったもの──

まえがき

『ゆりかごを揺らす手』(The Hand That Rocks the Cradle)は、1992年制作のスリラー映画。幸福な家庭が美しい侵略者に蹂躙されるさまが描かれているのだが、侵略者にも同情の余地があって、あっけない結末に納得できなかった。アッパーミドルの裕福な暮らしと、クレアの無垢も腹立たしい。というわけで、私が期待するストーリーを書き出してみた。

The Hand That Rocks the Cradle

原因

The Hand That Rocks the Cradle

 クレア・バーテルは裕福な家庭で幸せな日々を過ごしていた。第二子を授かって産婦人科を訪れたが、医師に猥褻な行為をされる。夫の助言で告発すると、マスコミに大きく取り上げられ、数名の女性が同じ被害にあったと名乗り出て集団訴訟になる。強烈なバッシングを浴びて、医師は自殺してしまった。クレアは自責の念に囚われるが、夫マイケルや娘エマ、使用人ソロモン、友人マリーンの支援で明るさを取り戻した。
 一方、医師の妻・ペートンは夫を失ったショックで流産し、家も財産も失ってしまった。ペートンの瞳に決意の炎が宿る。

侵略

The Hand That Rocks the Cradle

 6ヶ月後──。
 クレアは第二子ジョーイを出産した。ベビーシッターを雇うことにするが、約束していた人物が交通事故に遭ったため、募集を見て直接やってきたペートンを雇うことにする。ペートンは美しく、賢く、気さくな女性だったので、クレアはすっかり魅了された。

 しかしペートンは密かにバーテル家を崩壊させていく。ジョーイに自分の母乳を与える。娘エマに化粧や夜遊びをそそのかす。使用人ソロモンを罠にハメて追い出す。夫マイケルの書類を捨てて、クレアと衝突させる。マイケルが初恋の相手であるマリーンと浮気していると疑わせる。
 対立するたびペートンが仲裁に入って、双方の信頼を勝ち取っていく。いつしかバーテル家はペートンに支配され、互いに憎しみ合うようになっていた。

ほころび

The Hand That Rocks the Cradle

 ある日、庭先で使用人ソロモンの死体が発見される。ソロモンは元雇い主の家で盗みを働こうとして事故にあったと処理された。仲違いしたとはいえ、ソロモンがそんなことをするとは思えない。クレアはショックを受けるが、夫や友人には相談できず、悩みが深まる。
 ソロモンがもっていた封筒から、ペートンの正体が判明する。ペートンは、クレアの告発によって自殺した医師の妻だった。この家にやってきた目的は......復讐しか考えられない。ソロモンはそれを伝えようとして、殺されたにちがいない。

 クレアがあちこちで聞きまわると、ペートンへの疑惑は深まった。娘エマの補導もペートンの示唆によるものとわかったとき、クレアの怒りが爆発した。

反撃

The Hand That Rocks the Cradle

 クレアはペートンを追求するが、ペートンは誤解だと弁明する。論争の中、ペートンはクレアの罪を指摘する。
 クレアがセクハラされたというのは思い込みにすぎず、医師はそう誤解される可能性を怖れる小心者だった。名乗り出た被害者たちも慰謝料目当てで、治療を受けたことのない女性さえ含まれていた。裁判になれば無実が証明できるのに、医師は自殺してしまった。これはクレアが殺したも同然だ。
 ペートンはクレアを憎んでいたが、そうした負の感情と向き合い、克服するためにベビーシッターになった。断じて復讐のためじゃない。クレアは説得されかかるが、話を聴いていたマリーンの介入によって我に返る。乱闘の末、クレアはペートンを2階から庭に突き落とす。それはソロモンが死んだ時と同じ状態だった。クレアはマリーンに抱きしめられ、ほっとする。

エピローグ

 警察の事情聴取で、クレアはペートンの正体を供述する。しかし刑事は、ペートンの話に嘘はないと教える。医師のセクハラ疑惑はマスコミのでっち上げ、被害者たちもインチキ。ソロモンには盗癖があり、ペートンを脅迫していたのだろう。補導された娘さんがベビーシッターのせいにするのも珍しいことじゃない。
「それじゃマイケルとマリーンの浮気も事実なの? 私は無実の人を殺しちゃったの?」
 刑事は答えない。そこへ上司がやってきて、無罪放免と伝える。ペートンは犯罪者で、クレアは正当防衛だった。そう決着がついたのだ。
「アッパーミドルを立件するとややこしい」
 背後でぼやく声が聞こえた。

 クレアは夫、娘、友人に出迎えられるが、気持ちが冴えない。ベッドのふちでマイケルとマリーンの手が触れ合っているところが目に入る。ふたりは誤解しないでほしいと言うが、本当か? 娘の涙は本心か? みんなペートンに罪をかぶせて一件落着にしたいのか。クレアはみんなを追い出して、独りになった。

The Hand That Rocks the Cradle

 もうクレアに安息は訪れない。
 これはペートンの復讐なのか、クレアに下された罰なのか。

おわり

あとがき

 映画はペートンの事情をクローズアップしておきながら、クレアの視点で決着をつけるから奇妙だった。なのでクレアの視点に固定し、かつ観客をミスリードするという構成してみたが、どうだろう?

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