創作 / ショートショート (100) 1,000文字でショートショートを書いてみよう
第70話:作品と作家は同一ではない
「ジロウさん、あたし、スタジオを辞めようと思うの」 ユミちゃんが突然ヘンなことを言うので、ぼくはコーヒーを噴いてしまった。 原稿をもっていたので、あわてて2 ...more
第69話:名女優の素顔
「ねぇ、まだ私の素顔を見たい?」 意識を取り戻したチヨコさんは、唐突に切り出した。 枕元の夫のゲンゾウ氏も戸惑っていたが、ハッキリした声で答えた。 「あぁ、 ...more
第68話:国産の癒しツール
『きみがこの手紙を読むころ、ぼくはこの世にいないだろう。 ぼくは政府の秘密を知ってしまった。そのことを、きみに伝えておきたい。 いや、きみは知っているはずだ ...more
第65話:作品づくり
「くだらない仕事はやりたくない!」 タカユキはぷいっと顔をそむけ、ゲームを再開した。その幼稚な態度に、私はむっとした。 「くだらない仕事かどうか、書類を見なさ ...more
第64話:過去を捨てた女
「お母さん、なんで今ごろ?」 カスミの声は震えているが、強い非難が込められていた。無理もない。幼少時に自分を捨てた母親が突然、現れたのだ。恨み言もあるだろう。 ...more
第63話:死んだ主人が日記を書いています
死んだ主人が日記を書いています。 もちろん主人でないことはわかっていますが、そう思えてなりません。 この気持ちを、どう整理すればいいでしょう? 主人の趣 ...more
第62話:蜜の流れる地
「わわっ、なにこれ? すごい!」 なんという甘さ、スーッと溶ける爽やかさ! 爺ちゃんが取り出したハチミツは、たとえるもののない天上の甘露だった。 「どうだ、 ...more
第61話:歴史に残る仕事
「ぼくはこの仕事に向いてないのかもしれません」 昼休み、弁当を食べ終えたタケルは深いため息をつき、遠くを見据えた。 いつもの陽気さは影もない。よくない兆候だ ...more
第60話:部屋とセーラー服と私
「これって、セーラー服?」 つきあって4年になる彼氏の部屋で、セーラー服を見つけてしまった。 ベッド下の紙袋に入っていた。 きょろきょろ周囲を見渡す。 ...more
第59話:本気のしるし
「先生、私、初めてじゃないよ」 放課後の教室で、ミユキはぼくの机に腰掛けた。書類が床に落ちる。 「なにが、だだれと、どうして?」 感情が逆流して、うまくしゃ ...more
第58話:吾輩は犬である
吾輩は犬である。 名前はあるかもしれないが、とんと見当がつかぬ。 ご主人様との関係は、おおむね良好。 そう思うのは、散歩の回数が多いからだ。昨年あたりか ...more
第57話:保証された権利
「いつ、だれと結婚するかは、あたしが決めることでしょ!」 怒鳴られて母さんはしょんぼりした。 言いすぎたかもしれないけど、押し切るしかない。 私は絶対にヨ ...more
第55話:スタンドアローン
「目が覚めたかい?」 ぼくは、ボクに声をかけた。 ボクは身体を起こして、機械の頭を振る。 「ここは宇宙船?」 「ぼくの棺桶になるところさ」 機械のボクは、 ...more
第54話:ブラック・ウィドー
「ついにブラック・ウィドーを妻に娶ることができた」 きょう、80歳の誕生日を迎えるカツシゲ翁は、微笑みながらグラスを掲げた。 「いやだわ、そんな言い方されては ...more
第53話:アーバンライフ
「あれ? 母さん、どうしたの?」 アパートに帰ると、ドアの前に母さんが立っていた。 「なに言ってんの、ミホ。今日、泊まりに来るって言っておいたでしょ」 ヤバ ...more
第52話:呪われた会社
「ユミちゃん、この会社はヤバイよ!」 幼なじみのシロウは、青ざめた顔で訴えた。 霊感の強い人だから、なにか言うとは思っていたけど、こんなに真剣だとシャレにな ...more
第51話:モリアーティ
「今回も解決できましたね、教授!」 ジェーンの賞賛に、教授は不機嫌そうにそっぽ向いた。「ふん」と鼻を鳴らすが下品さはない。すねても英国紳士だった。 「個別の事 ...more
第50話:シャーロック
「ホームズさんが死んだって、本当ですか?」 真っ青な顔で叫ぶレストレード警部に、ワトソンは静かにうなずいた。 「ライヘンバッハの滝で、モリアーティ教授もろとも ...more
第49話:アレルギー×アレルギー
「えぇ! 自宅で海老を食べてるのー?」 トモミの告白に、素っ頓狂な声をあげてしまった。居酒屋の注目が集まる。 「チーちゃん、声が大きい」 私たちは身体をかが ...more
第48話:あらしのよるに流されて
「男と女の友情は成立するのかしら?」 サヨコの質問に、ぼくは唾を飲み込んだ。 (どうして、いま、そんなことを訊くんだろう?) ぼくの答えを待たず、サヨコは言 ...more
第47話:無礼講の罠
「今夜は遠慮なく意見を聞きたい。無礼講で話し合おう!」 合宿初日の夜、全従業員を集めたホールで、社長が宣言した。 だが、その言葉を信じる従業員はいない。なに ...more
第46話:悪魔の弁護
「私、悪魔なんです」 少女は抑揚のない声でつぶやいた。 つややかな黒髪と、白いブラウスの対比が印象的だ。しかし接見に訪れた弁護士は、発言を聞き流した。 「き ...more
第45話:モテモテの代償
「おれをモテモテにしてくれる? なんで?」 トシオの質問に、黒服の男は汗をぬぐいながら答えた。 「理由は、その、ご説明できませんが、はい、モテモテになります」 ...more
第44話:夫婦の食卓
「ちょっと! あんた、味がわかってんの?」 ある日、晩飯を食べていたヒデは、嫁さんに注意された。突然だったので、なんに怒っているのかわからない。相づちを打ちつ ...more
第42話:ガードレール
「こらっ! 道を外れちゃ駄目じゃないか」 登山コースから外れた子どもを見つけた私は、列に戻るよう注意した。しかし最近の小学生は先生の言うことを素直に聞いてくれ ...more
第41話:最果ての戦場
「ちくしょう! 司令部はなにを考えてるんだ?」 レイジ少尉はゴミ箱をけっ飛ばした。おれは肩をすくめ、読書に集中しようとしたが、レイジの怒りは収まりそうにない。 ...more