創作  2015年05月03日(日)に書いた ゆっくり文庫

【ゆっくり文庫】芥川龍之介「酒虫」

【ゆっくり文庫】芥川龍之介「酒虫」

それは虫の仕業です──

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原作について

芥川龍之介

芥川龍之介
(1892-1927)

 私は本作を妖怪の話と思って読んだから、物足りないと感じた。しかし漫画『東方三月精』の第17,18話「壺中の虫 酒虫の壺」を読んだときに、自分が見落としたものに気がついた。あらためて読み直し、『聊斎志異』と比較することで、芥川龍之介の意図がわかった。
 この気付きを伝えるべく、本作を【ゆっくり文庫】に加えることにした。


※「壺中の虫 酒虫の壺」酒虫の性質のみを描いたエピソードだった

 悪癖を取り除くと、その人はその人でなくなる──。このテーマを描くため、芥川は酒虫の性質を省いた。劉氏はうかつな人物だが、決して愚鈍ではない。だれにでも起こりうる話。「酒虫(悪癖)を抜くべきじゃなかった」と断言しないところも謙虚だ。

 あなたの悪癖は病気だから、治療したほうがいいと言われたら、どうするか?
 お酒が好き、ゲームが好き、美少女フィギュアが好き、コスプレが好きといった悪癖は、なければない方がいいが、あとになにが残るだろう? いろいろ考えさせられる。

翻案について

 展開を時系列順にもどし、さまざまな装飾を取っ払った。酒虫の描写も写真にまかせてカット。最初に仕上げた脚本よりだいぶ短くなった。

 私がそうであったように、視聴者の多くは「妖怪の話」として見るかもしれない。僧侶陰謀説に走ってほしくないから、『聊齋志異』と比較して、テーマを解説する《おまけ》を追加した。文学的にはまったく蛇足であり、邪道であり、野暮だが、やってみよう。

芥川龍之介「酒虫」
※《おまけ》を入れるかどうかは悩んだ

 僧侶陰謀説(=僧侶は自分が良酒を飲むため、劉氏から酒虫を抜いた)を読みたい人は、夢枕獏の「闇狩り師2」収蔵の「餓鬼魂」あたりがおすすめ。

配役について

 酒飲み主人公は「黒猫」を受け継いで霊夢。
 なので語りは魔理沙になった。魔理沙はまた主演が減っている。すまんなぁ。

 旅の僧侶は悩んだ。立派で、威厳があって、ウソをつきそうにない人がいいが、面白味に欠けるため、胡散臭い人物にした。しかし邪悪であってはならない。試行錯誤してパチュリーに落ち着いた。魔法の触媒を探しに来たような雰囲気だ。

芥川龍之介「酒虫」
※旅の僧侶=ゆかり:コレじゃない

芥川龍之介「酒虫」
※旅の僧侶=レミリア:ちがう

芥川龍之介「酒虫」
※旅の僧侶=萃香:知らない人が多いだろうなぁ

 東方ファンなら、当然、萃香が登場すると思うだろう。しかし【ゆっくり文庫】の視聴者の何割が伊吹萃香を知っていて、いつも持っている瓢箪(伊吹瓢)に酒虫がいると知っているだろう? マニア度数が高すぎる。絶好の配役だが、断念することにした。ご了承ください。

 3人の村人はオリジナルキャストで、「常識」=きめぇ丸、「善意」=幽々子、「やっかみ」=アリスを暗示している。どの意見も無責任で、なんの役に立たないが、劉氏は踊らされてしまう。攻撃的だったアリスが正鵠を射ているのはシュールだ。

芥川龍之介「酒虫」
※常識、善意、やっかみ

動画制作について

 酒虫をどう表現するかは悩んだ。ちまちまイラストを描いていたが、結局、エゾサンショウウオを赤くすることに落ち着いた。答えがわかっていれば、無駄な作業をセずに済んだのに。

芥川龍之介「酒虫」
※できてしまえば簡単な表現

 最大の難関は《おまけ》だった。画面に情報がありすぎても、なさすぎても困る。解説動画は、ドラマとは違った難しさがある。このあたりのセンスも伸ばしたい。

深刻な素材不足

 Microsoftのクリップアートサイトが閉鎖したことで、深刻な素材不足になっている。今回もツボが見つからず困った。結局、写真をくり抜くことで解決したが、できればVectorデータがいい。素材を探すのにかける時間が増えてきた。困った。もっと手抜きする方法を考えないと。

間隔が空いたこと

 「酒虫」は短いので、適当なところに放り込むつもりだった。しかし前作から2ヶ月も空いてしまうと、「もっと大作を容易すべきじゃないか」とか「季節感がちがうぞ」とか、どうでもいいことに惑わされてしまった。

 ミステリー大作が連続したから、「酒虫」のような作品は物足りないと思う人がいるかもしれないが、まぁ、このノリが【ゆっくり文庫】なのだ。やりたいことをやる。私がおもしろいと思ったことをやる。視聴者の期待を意識しても、いいことがないだろう。

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