水道水のありがたさを学ぶ / 朝霞浄水場
2007年 埼玉県 治水・利水 社会見学朝霞浄水場の高度浄水施設を見学してきた。
6月1日~7日は水道週間。その関連イベントの1つとして、朝霞浄水場の見学会が開催されていた。私は治水・利水の話が大好きなので、行ってみることにした。
朝霞浄水場とは
埼玉県にあるけど、東京都水道局の施設。東京都が管理する11の浄水場のうち、最大の規模をほこる。浄水は練馬区や品川区に給水されている。私は都民じゃないし、給水区域にも住んでないけど、まぁ、いいっしょ。
※朝霞浄水場:埼玉県から東京都に水を供給している
浄水の仕組みを学ぶ
10名ほどのグループに分かれ、局員さんに施設内を案内してもらう。
川の水をどうやって飲めるようにするのか?
本で読んで知ってはいたけど、実際に見てみると感慨深い。とにかく大量の水(170万m3/日)をきれいにしなきゃならんので、施設も大きくなる。それでも朝霞浄水場は地表と地下を階層的に使っているので、コンパクトに設計されているそうだ。すごい知恵だ。
※着水井:原水が勢いよく吹き上がっている
※前段ろ過池:太陽光発電パネルで蓋がされている
※日本の水道管は世界一漏れない
なぜ東京の水はまずくなったか
細かく書くとキリがないけど、いろんな工夫がされていた。テロ対策や災害対策も充実している。しかしそれでも、急激な水量不足と水質悪化は予想を超えるものだったらしい。東京の人口が爆発的に増えて、荒川の水では足りなくなった。なので利根川の水をひいてきたけど、水質が悪くて既存施設ではかび臭さを除去できない。
こうして、「東京の水道水はまずい」と言われるようになったわけだ。
※1.4km離れた秋ヶ瀬取水堰(4つの水色の建物)から取水している
そこで高度浄水施設ですよ
こうした問題を解決するために建設されたのが、高度浄水施設。オゾンや生物活性炭などを駆使して、かび臭さのモトを徹底的に取り除くところだ。巨大な配管が張り巡らされた施設内は、まるで工場みたいだった。
※工場のような雰囲気
※オゾン接触池
※混和池をのぞき込む子どもたち
この施設が運用されたのは平成16年(2004年)10月から。3年前と現在では、水道水の質は大きく改善されたらしい。あいにく私は給水地域に住んでいないけど、どれほどの住民が変化に気づいただろうか? すでに大多数の人はミネラルウォーターに切り替えちゃって、水道水を直接飲む機会は減っているような気がする(涙)。
世界に誇る「東京水」
そんなに水道水はおいしくなったのか?
その疑問は、お土産に渡される「東京水」を飲めばわかる。水道水のペットボトルってのもおもしろね。飲んでみたが、ふつーに飲める。「おいしいっ!」と感激するほどではないが、少なくとも水道水のまずさはなかった。これはいいかも。
※「東京水」 水道水のペットボトル
エコ黒土「アクレE」
ほかにも鉢植えももらった。この鉢植えに使われている黒土(アクレE)は、浄水の過程で残ったフロック(ゴミ)を加工したもの。人工地番(屋上緑化)用の土壌として、優れた性質を持っているそうだ。これまで金を払って廃棄していたゴミが、新たな収入源となったわけだ。技術ってすごいなぁと感心した。
※お土産をたくさんもらった
世界に誇れるか?
高度浄水施設は、世界的にも素晴らしい技術の集大成らしい。しかし法律の制限があって、海外はおろか、東京都以外にも伝えられなかった。なので中国の浄水施設はフランスの会社が受注してしまった。いろんな事情があるとは思うけど、もったいない。
◎
今回の見学会では、子ども連れの親子が多かった。巨大な施設を熱心に見つめる子どもたち。あの子たちが大人になるころ、水道水はどうなっているだろうか? 人口が減っていれば、水道水の質はさらに向上しているはずだからね。
なんてことを、ふと考えてしまった。