入水鍾乳洞 / 地底の恐怖体験

2007年 福島県 #福島ぶらり旅 洞窟・地下
[WGS84] 37.355497, 140.664789 - Google Earthで開く(kml)

これまで経験した中で、もっとも怖い鍾乳洞だった。

あの暗さ、狭さ、冷たさを思い出すと息苦しくなる。もう当分、地底には行きたくない。それほど強烈な体験だった。

Bコースで十分です

入水鍾乳洞の全長は約900m。一本道で、最初の150mはAコース(普通の服装で見学可)、次の450mはBコース(濡れてもよい服装)、最深部に至る300mはCコース(装備+案内人が必要)となる。ならばCコースと思ったが、嫁は却下。Bコースが限界だと言う。うーむ。
割引チケットには「本格的なケイビングで探検家気分を楽しめます」と書いてある。どういう意味だろう。

入水鍾乳洞
※入り口はこの道の先にある

サンダルを借りて、ジャージに着替えて

途中の店でビーチサンダルを借りる。ほか、ロウソクやカッパも貸し出していた。入り口横には、更衣室とロッカーがあって、ここに荷物をあずけ、濡れてもいい格好に着替える。そのとおりにする。

入水鍾乳洞
※ようこそ スリルと探勝の入水鍾乳洞へ(夢と空き缶 すてないで)

まずAコース

入水鍾乳洞は一本道で、ABCの各コースは連続している。なのでBコースはAコースの先にあり、帰りも同じ道を通ることになる。
とりあえず入ってみる。やや狭いが、ふつうの鍾乳洞だ。ゴツゴツした岩場を歩いていく。すると、道がなくなった。ここからBコースだった。

入水鍾乳洞
※このあたりは楽勝で、装備は大げさと思っていたが

冷てぇぇぇぇーーー!

入水(いりみず)鍾乳洞は、その名の通り水が流れている鍾乳洞だった。Bコースは水の中を歩いていくのだ。しかも水は強烈に冷たい。足が痛くなって、入ってられないが、足を上げる場所もない。

入水鍾乳洞
※あんなところに入っていくのカヨ!

狭いぃぃぃぃーーーッ!

しかも狭い。天井も低く、中腰で進むが、ときおり頭をぶつけてしまう。足が冷たいので、水のない場所を探して足を休める。ひぃぃ。これは大変だよ。

入水鍾乳洞
※水位はけっこう深い

入水鍾乳洞
※そして狭い 頭をゴチゴチぶつける

入水鍾乳洞
※冷たくて足がジンジンする

フラッシュ無しでは撮影できない。すると湯気が写る。もちろん温かいわけではなく、湿度が高いせいだ。写真ではわからないが、寒いし、冷たいのだ。

暗いぃぃぃぃーーーッ!

さらに進むと真っ暗になった。このためロウソクを貸し出していたのか。嫁は持参してきたライトを点ける。夫婦で1本。ばかばかばか。
交代でライトを照らしながら進む。両手を使うので、ライトは口にくわえる。ふーふー。ライトを持たない方は暗いので、より頭をぶつける。ごちごち。

入水鍾乳洞
※あんまり先に行くな

笑うしかない

心臓の鼓動が速くなった。興奮と言うより、緊張してる。水の冷たさ、地中の圧迫感、暗さが精神を追い込んでいる。落ち着け、焦るな。とは思うが、どうしても急ぎ足になる。早くここから抜け出したいと、本能が訴えているのだ
しかし入水鍾乳洞は一本道なので、奥まで行ったら戻ってくるんだよね。あはは。笑ってないと、おかしくなってしまいそうだ。

入水鍾乳洞
※灯りがないところは、本当になにも見えなくなる

第二胎内くぐり

四つん這いになって通るところが出てきた。しょげー。水に手を入れる。冷たいよー。さらに肘もついて、えいや、えいやと進む。もうビショビショだが、気にしている余裕はなかった。
立ち止まって考え込む方が、よっぽど怖いからだ。

入水鍾乳洞
※四つん這いでくぐるしかない

入水鍾乳洞
※とにかく狭いんだよ

よしゴール、さぁ帰ろう

Bコースの終点に到着する。ふぅとひと行き着くが、すぐに引き返す。達成の余韻に浸れる場所じゃない。気がつくと、嫁は逃げるように進んでいた。おい、ライト!

入水鍾乳洞
※ここがゴール

入水鍾乳洞
※ずぶぬれになった

灯りが消えたら、それでオシマイ

帰り道、3人組の若者(男、女、男)とすれ違った。狭い洞内ですれ違うのは大変だった。しかも彼らは片手をロウソクにとられていたので、ますます大変だ。
ロウソクが消えたらどうするんだろう? あとで聞いた話だが、ロウソクとライターはセットで借りるらしい。まぁ、ここで灯りを失ったら文字通り「立ち往生」だよな。

入水鍾乳洞
※途中で燃え尽きたロウソク

店の人に「立ち往生する人はいないんですか?」と訊ねたら、「めったにいないよ」だって。ということは、ごくまれに立ち往生する人がいるんだろうか。
Bコースは平均1時間かかる。立ち往生しても、係員が気づくのにどれほど時間がかかるんだろう? あるいは頭を打って倒れたりしたら、どうなるんだ? 声が届く世界じゃないし、想像するだに恐ろしい。

入水鍾乳洞
※戻れ! 戻れ! 戻れ!

地上に還ってきた!

Aコースをもどって、地上に抜けた。入るときは気づかなかったが、入り口(出口)には「喜びの窓」と書かれていた。たしかにそうだ。人は地底では生きていけない。この考えは、翌日に訪れる「いわき市化石・石炭館」で覆されるのだが、それはあとの話。

入水鍾乳洞
※喜びの窓

入水鍾乳洞
※外は雨だが、かまわない

星の村・ふれあい館

更衣室で着替える。ジャージはたっぷり水を含んでいて、しぼるのが大変だった。着替えても落ち着かないので、すぐ近くにある温泉「星の村・ふれあい館」に駆け込んだ。入湯料は500円。
温泉につかって身体を温めると、気分がリフレッシュできた。ふぅ。

入水鍾乳洞
※星の村 ふれあい館

いやぁ、入水鍾乳洞はすごいところだった。
精神的な圧迫が強いので、好きな人といっしょに入ったら急接近できるだろうな。まぁ、あんなところに一緒に入ってくれる相手なら、十分、親しい関係かもね。

■入水鍾乳洞
[規模] 長さ0.9km
[住所] 福島県田村市滝根町菅谷字大六89-3
[電話] 0247-78-3393
[料金] A)550円、B)700円、C)4,600円
[URL] https://www1.plala.or.jp/CUE/cave_irimizu.html

温泉からあがると、私たちはいわき市に向かった。

福島ぶらり旅(4泊5日)
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