旅行  2008年11月20日(木) の千葉県 にて

富津岬と富津元洲堡塁砲台 / 観光地にあらず

(map)

[WGS84] 35.312835, 139.785313 - Google Earthで開く(kml)

旧日本軍の遺構を見るため、富津岬にやってきた。

私は千葉市に住んでいたので、富津岬は何度かドライブできている。しかし事前に地図や情報を調べ、目的意識を持って訪れたことはない。天気がよかったせいもあるが、これまで見えなかったものが見えたよ。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※明治百年記念展望塔

富津岬

富津岬は東京湾に向かって約5キロほど突き出ている。
これまでいろんな岬を訪れたけど、ここまで鋭角な地形も珍しい。これで灯台があれば最高なのだが、富津沖は遠浅なので船は近づかないようだ。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※東京湾に突き出た富津岬

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※展望台の頂上より

富津岬
※パノラマ:富津岬 (クリックで拡大)

第一、第二海堡(かいほう)

観音崎からは見えなかった海堡がくっきり見えた。
思っていたより近い。200mmの望遠でもよく見えた。あんなに近くにあるのに、今までぜんぜん気づかなかったよ。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※富津岬の沖合に浮かぶ第一、第二海堡

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※第一海堡:洋上の前方後円墳みたい

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※第二海堡:船が航行し、クレーンが動いている

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※猿島:あの向こう側に記念鑑・三笠がある


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ちなみに第三海堡は...

第三海堡は観音崎沖に建設された。
もっとも深い場所(水深40m)に、もっと時間をかけて(30年)造成されたのに、もっとも早く崩れてしまい(完成から2年後の関東大震災:1923年)、航行の邪魔になるので撤去されてしまった(2007年8月に完了)。
今じゃ、衛星写真でも見つけられない。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※観音崎の手前を横切る浦賀水道航路

海幅最小6.5キロの浦賀水道

観音崎と富津岬のあいだにある海峡が、浦賀水道である。
第二海堡のあたりまでは浅瀬だから、実際に航行できる領域はかなり狭い。こんなところを1日あたり 700隻もの船が往来するのか。
観音崎で見た東京湾海上交通センター(東京マーチス)が航行管制を行っているそうだ。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※地図があると、現在位置がわかる

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※デジスコが欲しくなった

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※心ない人が捨てたテレビ

さて、突端からの眺めは十分堪能した。
お次は「富津元洲堡塁砲台」を見に行こう。堡塁砲台は富津岬の根本にあるので、クルマで移動する。富津公園は無料駐車場が多くて助かる。

富津射の観測壕

まずは海沿いの観測壕を見てみることにした。
観測壕といっても外敵を警戒するものではなく、40cm榴弾砲砲座から試射された砲弾の着弾を確認するための施設だ。
観光スポットではないため、地図に載ってないし、案内標識もない。しかし衛星写真で場所を確認してきたので、なんとか見つけられた。ネットはすごいね。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※海辺の観測壕:右奥に見えるのが富津岬の展望台

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※おそるおそる近づいてみる

未整備の遺構

遺構や廃墟の写真を見るのはいいが、実際に見ると気後れしてしまう。崩れるかもしれないし、虫がいるかもしれない。誰かが潜んでいる可能性もある
そうした怖さはあったけど、好奇心には勝てなかった。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※ゴミが残ってる

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※このスリットから着弾を確認していたのか

見ておいて言うのもアレだけど、やっぱり危険だよね。
廃墟は写真で見るものであって、実際に入っちゃ駄目だよ。うん。

富津元洲堡塁砲台

「堡塁(ほうるい)砲台」とは、堡塁(=敵上陸物隊を砲撃する)と砲台(=海上の敵艦艇を砲撃する)の役割を兼ね備えたもの。
空中から見ると台形をしており、周囲は水堀で囲まれている。現地に立つと、樹木の背が高くて地形は把握できないが、城址のような雰囲気だった。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※橋を渡って堡塁砲台に足を踏み入れる

遺構の多くは隠され、封じられている

堡塁砲台の中央には地下掩蔽部が並んでいるはずだが、土に覆われて見えなかった。そのほかの遺構も部分的に見えているだけで、穴や隙間はコンクリートで塗り固められていた。安全のためだ。もし小さな子どもが穴から入ってしまったら、大変なことになるからね。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※地中から生える煙突

なぜヘリテージング100選に選ばれたのか?

あちこち封鎖されていることは理解できるし、不満はない。
ただ、疑問はある。
富津元洲堡塁砲台はなぜ「ヘリテージング100選」に選ばれたのだろう? ここには一般的な建物はないし、事情を知って楽しめる人はごくわずかだ。「ヘリテージング100選」は観光に適したところが選ばれていると思っていたが、違うのだろうか?

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※火薬庫跡

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※やっぱり不気味な内部

説明がないとわからない

あらかじめ調べて見に来たが、それでも建物の残骸はよくわからなかった。崩れたり、封じたり、移動しているため、どのように使われていたのかさっぱりだ。
説明するほど資料が残っていないのかもしれない。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※明治百年記念展望塔と第一海堡、それに大型タンカーが見える

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※水堀にかかる橋

監的塀

橋を渡ったところに、左右一対の壁があった。これも軍施設のようだ。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※樹木に埋もれつつある壁

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※スリットには、トーチカのような段差がつけられている

1882年(明治15年)に造られた富津元洲堡塁砲台は、1941(昭和16)年に陸軍兵器行政本部第一陸軍技術研究所富津試験場と改称された。詳しいことはわからないが、ここで兵器のテストをしていたのだろうか。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※40cm榴弾砲砲座があったところ:この延長線上に観測壕がある

■富津公園 (Futtsu Park)
[所在地] 千葉県富津市富津2280
[連絡先] 0439-87-8887
[面積] 108.3ha
[URL] http://www.pref.chiba.jp/

近代遺産めぐりが軍事施設めぐりにすべって、気がつけば廃墟をながめていた。
これはこれで楽しかったけど、もう十分かな。危険を冒して廃墟を見るほどのマニアではない。整備された観光施設の方がありがたいよ。

富津岬と富津元洲堡塁砲台
※MPG(モーターパラグライダー)が飛んでいる

何度も訪れたはずの富津岬に、こんな側面があったとはね。
戦争は遠い過去の、遠い場所で起こった出来事じゃない。現代に至る歴史のピースが埋まっていく感覚は、興味深いものだった。

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