転がる石

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転石苔(こけ)を生ぜず。

A rolling stone gathers no moss

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この諺には2つの解釈がある。
アメリカでは、苔とは悪いもの、汚いものとされる。
したがって、苔がつかないよう、転がりつづけた方がいい。
「活発に行動する人は、いつまでも古くならない」という意味になる。
日本や英国では、苔とはよいもの、価値あるものとされる。
したがって、苔のむすまで、どっしり構えた方がいい。
「一か所に落ち着かない人は大成しない」という意味になる。


つい十数年前まで、日本人は転がる石を馬鹿にしていた。
職を転々とする人たちを、「問題児」「不安定」「根無し草」と蔑んでいた。終身雇用と年功序列の世の中では無理もない。
それが常識だった。
だが、世の中は変わった。
いまは転職できない人が馬鹿にされている。「社畜」「飼い殺し」「先細り」とみられている。いや、本人たちがそう思い込んでいる。
勤続年数の長さを恥じるなんて信じられない
……ふり返ってみれば、たった十数年。
たったそれだけで、2,600年の常識がひっくり返ったのだ。ならば、死ぬまでにもう2~3回くらい、ひっくり返るかもしれない。そう考える方が自然ではないか。
現状に嘆いたり、浮かれている場合じゃない。
少なくとも、ただ転がるだけの人が素晴らしいとは思えない。
我慢もせず、工夫もせず、風の向くまま転がっていくだけなら、苔むすことも磨かれることもないだろう。


転職したことがない人たちは、転職した人たちをむやみに崇拝するが、現実はそんなにロマンチックじゃない。
転職とは、1つの失敗なのだ。
転職(失敗)が多いから能力が高いとはかぎらない。逆もまたしかり。
転がろうが、落ち着こうが、石は石でしかない。

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