外部記憶装置

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──私の妻は、物忘れがひどい
ときおり病気ではないかと思うほどだ。
いや、ほんとうに病気なのかもしれない。
病院で診察してもらって、「奥さんは10年前から痴呆症ですね」と診断されても、「やっぱり!」と指を鳴らしてしまうだろう。
短期記憶も問題だが、過去の記憶がボロボロなのも哀しい。
たとえば夫婦で旅行に行ったとする。
いつ、どこで、だれと、なにをして、どう感じたか……。
私があれこれ話しても、妻の頭には「?」マークが浮かぶだけ。
「そんなこと、したっけ???」
デジカメで撮った写真を見せると、ぼちぼち思い出す。
「あぁ、そういえば行ったね」と答える妻。
しかし写真が残っていないシーンになると、とたんに話がおぼつかなくなる。
……ときおり、私は不安になる。
(妻は、思い出しているフリをしているのではないか?)
そこで私は、旅日記を書くことにした
これを読ませると、妻の記憶はかなりハッキリするようだ。
日記を読んで、「へぇ、そうなんだぁ」と感心する妻。
……ときおり、私は不安になる。
(妻は、自分が体験したことの日記だと理解しているのだろうか?)


妻にとって、私は外部記憶装置らしい
なので、メインメモリ(自分の脳)は空っぽでもいいと思っているようだ。
そのせいか、私が写真を整理したり、日記を細かく書けば書くほど、妻の記憶力は衰えていくように見える。
たとえば、妻といっしょに、同じものを食べる。
家に帰って、私が日記を書く。
それを読んで初めて、
「うん、美味しかった。ここがポイントだよね♪」
と感想を述べる。
……なにかがおかしい

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