ふんぎり

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──知人から聞いた話。
彼は、結婚直前で彼女と別れてしまったらしい。
いわく、ふんぎりがつかなかったそうだ。
その気持ちはよくわかる。結婚はとても重要な決断だ。あいまいな気持ちで結婚することは、自分のためにも、相手のためにもよくない。
だから考える。
(おれは生涯、この人を愛しつづけられるだろうか?)
(もっと素敵な女性と出会うかもしれない……)
(彼女だって、おれより素敵な男性に出会うかもしれない……)
(いま、決断する必要があるだろうか?)
こんなの、答えが出るような話じゃない
神様が「答え」を教えてくれても、信じないこともできる。
考えれば考えるほど、答えから遠ざかるようなもんだ。
彼は言った。
「結婚せざるを得ない状況になればよかったんですけどね」
私は答えた。
「そんな状況を望む時点で、すでに決断してるんじゃないか?」
ちょっと考えて、彼は言った。
「いえ、自然に、無理なく、選択肢が消えてくれればよかったんですよ」


私にもマリッジブルーはあった。
私の場合、結婚しなければならない理由はなかった。それだけ心を決めるのは難しかった。前述のようなことを、悶々と悩む数ヶ月があった。
しかし、いま思うと、なんの理由もなく決断できてよかったと思う。
やむなく、勢いで決断していたら、のちのちトラブルがあったときに、こう考えてしまうだろう。
「あのとき、○×さえなかったら……」
私の場合、そういう言い訳はできない。
完全に自由意志で決めたことだから、ぶれずにやってこれたと思う。


ところが、まったく逆の場合もあるようだ。
とある女性はこう言った。
「あたしはやむなく、勢いで決めちゃったね
 いま思うと、もっと冷静に考えるべきだった。軽率すぎ。
 おかげで、あたしは20代を楽しみそこねたよ。
 あのとき○×さえなかったら……
 そう思わなきゃ、やってられない。」
なるほどなぁと思う。
勢いで結婚することも、決して悪いことではなさそうだ。


家に帰って、上記のようなことを妻に話したら、こう言われた。
「その彼女が、自然に、無理なく、
 彼の選択肢を奪ってやればよかったんじゃない?
なるほどなぁと思う。
……ん?

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