嫁のシャンプーを選ぶ

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「じゃあ、ダンナさんが選んでよ」
 面倒なことになってしまった。島忠で嫁がシャンプーを買うときに、つい、
「いつも同じものじゃなくて、あれこれ試してみたら?」
 と口を挟んでしまった。
 なんでも試したがる夫と、面倒はきらいな嫁──。結果、私が選ぶことになった。
 シャンプーは……思いのほか種類が多かった。CMで有名なレノアハピネスにしようと思ったが、あれは柔軟剤だった。順々に見ていくと、いつの間にかコンディショナーとかリンスになっていた。ふだん石鹸しか使わない私には、難易度が高すぎた。
 商品ごとに小さなボトルがぶら下がっている。シャンプーの香りを確認できるようだ。1つずつフタをあけ、嗅いでみる。
 ふむ。ふむふむ。ふむむ。ふむ? ふむ~。
 脳裡に、これまで会った女性のイメージが浮かぶ。
(これは……あの子の香り。このシャンプーを使っていたのか)
(あの子の香りは……ん、シャンプーじゃなくて香水か)
 神経を集中して嗅ぎ比べていると……はっと戦慄した。
 背後で待っている嫁をふりかえる。
「これって、なんかの罠じゃないよね?」

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